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三菱ふそうトラック・バス(本社・東京)のビルフリート・ポート社長は20日、記者会見し、三菱自動車製トラックのクラッチ系統に欠陥があることを8年前に社内で把握しながら、十分な対策をとらず、死亡事故を引き起こした可能性があることを明らかにした。欠陥把握後しばらくは、秘密裏に修理する違法な「ヤミ改修」を続けたが、それも途中でやめたという。来週、国土交通省にリコール(無償回収・修理)を届け出て、役員を含む責任者を懲戒処分する方針。事実関係については先週、社員から会社側に告発があり、すでに国土交通省と捜査当局に経緯を報告した。
ポート社長らの説明によると、欠陥が明らかになったのは83年から96年まで生産された約17万台の大型トラック「ザ・グレート」で、うち約半分は廃車になることなく今も走っている。クラッチを格納する「クラッチハウジング」に亀裂が生じる可能性があり、これにより、ブレーキなど車両本体が破損する可能性がある。
これまでに同社や三菱自動車に報告された不具合は、把握できたものだけで約70件。92年以前の古い時期については、はっきりしない。94年に神奈川県内で、98年に名古屋市内で人身事故があり、02年10月には山口県内でトラックが暴走、建物に衝突して運転手が死亡する事故が起きた。
トラブルの多発を受けて三菱自は96年5月に対策会議を開き、分析、評価の結果、事故が起きる可能性を認識したが、リコールの届け出はしないと決め、00年にかけて「ヤミ改修」を続けた。ヤミ改修は製造や設計欠陥を国に報告せず、秘密裏にユーザーを呼び出して修理したり、定期点検などの際に勝手に修理したりする違法な行為。00年以降はそれすらせず、死亡事故が起きた後も欠陥を放置していた。
同社では、不具合情報を長年にわたり隠匿していた事件が00年7月に発覚。その際、旧運輸省から、「リコールなど改善措置が必要となる可能性がある重要な不具合情報」を抽出して報告するよう求められたが、同社はクラッチハウジングのトラブル続発については明示しなかった。
ポート社長は会見冒頭「死亡したドライバー及び遺族の方々に心から哀悼の意を表するとともにおわび申し上げます」と述べ、一連の経緯について「重大な不具合が長年放置されてきたことに個人として激しい憤りを感じる」「本来なら96年当時にリコールしなければならなかったことは明白。これは隠蔽(いんぺい)体質の結果だ」などと語った。
先週、内部通報があり、16日夜、調査結果がポート社長に報告された。国交省などには18日に報告した。内部通報者も問題に関与していたといい、ポート社長は「過去の清算のため勇気をふるって声を上げた点は高く評価するが、残念ながら、遅すぎた」と述べた。
死亡事故を引き起こしたクラッチハウジングのほかにも、大型観光バスの駐車ブレーキ(約4000台)、プロペラシャフト(約250台)、大型トラックのプロペラシャフト(約8000台)について、不具合の続発がやはり内部通報で判明したといい、同社は近くリコールを届ける方針でいる。
(05/20 22:27)