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2004年05月18日(火) 00時00分

放射線過剰照射で謝罪 県立医科大付属病院会見で謝罪する大西克尚院長(中央)ら=県立医科大で朝日新聞・

 「重大な医療事故が発生し患者様が死亡に至った。申し訳なく思う」──。県立医科大付属病院(和歌山市紀三井寺)の放射線過剰照射問題。17日に同病院で会見した大西克尚院長らは冒頭、こう話して頭を下げた。

 会見には大西院長のほか山中昇副院長、佐藤守男放射線科教授らが出席した。

 同病院によると、過剰照射を受け、今月9日に亡くなった男性は昨年6月に下咽頭(かいんとう)がんで入院した。がんは初期で、転移もなかったという。

 同年8月に始めた放射線照射は計72.5グレイの予定だった。62.5グレイ分を終えたあと、残り10グレイを9月19日から4回に分けて2.5グレイずつ照射する予定だったが、放射線科の助教授(46)が治療計画用のコンピューターに1回に10グレイと誤入力したため1回10グレイを2回に渡って過剰照射したという。

 1回10グレイの照射について大西院長は「下咽頭がんの治療ではあり得ない。医師の入力ミスも、放射線技師のチェックミスもあってはならないことだった」という。

 男性は3月に咽頭痛を訴えて入院。咽頭出血による窒息で亡くなった。佐藤教授は「患部に炎症や壊死(えし)などがあり、放射線過剰照射による症状と矛盾しない」とし、山中副院長は「比較的早期の患者で、がん細胞が消えていたことを考えると、過剰照射がなければ、男性が存命していた可能性はあると思う」と話した。

 病院側は今月10日に院内に事故調査委員会を設置した。過剰照射と死因との詳細な因果関係や、再発防止策について検討する。

 男性への過剰照射に使われた機器は5年前に納入し、これまでに1750の治療例があるという。今回の問題を受け、これまでにも過剰照射がなかったか調べたが、「過剰照射はなかった」としている。

 大西院長は「原因がはっきりしたら、関係者の処分もすると思う。遺族には誠心誠意対応し、再発防止に努めたい」と話した。

(5/18)

http://mytown.asahi.com/wakayama/news01.asp?kiji=1913