2004年05月18日(火) 12時22分
<少年リンチ死>加害少年と親に損害賠償支払命令 東京地裁(毎日新聞)
埼玉県狭山市で00年5月、県立越生高校2年、大山智之君(当時16歳)が当時13〜16歳の少年4人にリンチを受け死亡した事件で、大山君の両親が加害少年と親7人の計11人に約1億6200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は18日、破産している親1人を除く10人に計約8200万円の支払いを命じた。浅香紀久雄裁判長は「少年たちは一方的に難癖を付けて暴行をエスカレートさせた。遺体を遺棄して発見を遅らせており、悪質。被害者の苦痛は筆舌に尽くしがたい」と指摘した。
加害少年のうち2人の親は「子供の生活全般について度々注意しており、賠償責任はない」と争ったが、判決は「子供の問題行動に表面的な対応をしていたに過ぎず、監督義務違反があった」と述べた。
判決によると、少年たちは同年5月6日、「態度が気に入らない」と大山君を数時間にわたって雑木林や公園で暴行を加え、外傷性ショック死させ、遺体を雑木林に捨てた。
4人は小中学校の同級生らで、当時16歳のアルバイト少年2人と高校2年の少女1人、13歳の中学2年の少年。3人は傷害致死容疑で逮捕後、中等少年院に送致され、中学生は児童自立支援施設に収容された。【渡辺暖】
◇苦悩の日々振り返り涙 父唯晴さん
「これでやっと仏壇に線香をあげられる。始まりはこれからです」。大山智之君の父唯晴さん(56)は、判決後の記者会見で苦悩の日々を振り返りながら、涙を見せた。
両親は、原告席に智之君の遺影を置いて判決を待った。裁判長が判決文の読み上げを始めると、母英子さん(46)の目に涙があふれた。
少年たちの口から、直接真相を聞くために訴訟を起こした。しかし、裁判所は「責任を認めているのだから」と本人尋問を認めなかった。唯晴さんはこの点について「残念です」と語った。英子さんは「親に責任があることは認めてもらえた。その点ではよかった」と話した。
智之君を失ってから丸4年。事件が頭から離れたことは一度もない。加害者4人のうち自宅まで謝罪に訪れたのは1人だけ。「反省が伝わってこない」と和解を拒否してこの日を待った。「少年たちに対する気持ちは、言葉にならない。しかしこれで一区切りです」。唯晴さんは自分に言い聞かせるように語った。【小林直】(毎日新聞)
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