2004年05月13日(木) 19時03分
マルチ商法、県内学生に被害拡大 苦情・相談全体の2割に /栃木(毎日新聞)
◇「手軽なビジネス」−−不況による就職難背景に
「知人らに商品を売れば、マージンを支払う」などと言って、高額の商品を購入させるマルチ商法が、大学生の間で広がっていることが県消費生活センターなどの調べで分かった。不況による就職難を背景に、業者が「手軽なビジネス」とうたって学生を誘っているとみられる。消費者金融から商品の購入代金を借りさせられるケースもあり、同センターは注意を呼び掛けている。
同センターによると、マルチ商法の相談・苦情は02年度63件、昨年度79件と増加している。半数は30〜50代の女性だが、学生も約2割を占める。同センターは「相談する学生は少なく、潜在的な数はもっと多い」と分析している。
県内の男子学生(22)は2月、友人に誘われ、「商品カタログを配布し、注文を取ればマージンを支払う」という通販業者から、約30万円でカタログを購入。費用は消費者金融から借りた。その後、業者と連絡がとれなくなり、借金返済に悩んでいるという。
また、宇都宮市の20代の男子学生は4月末、別の大学の友人に喫茶店に呼ばれ、先輩にあたるという札幌市の健康食品販売会社の男性社員を紹介された。男子学生は「安定した就職は難しい」「会員になって知人に商品を売れば高収入を得られる」と、8時間にわたり、入会費名目の化粧品セット(約10万円)を買うよう説得された。
男子学生が「お金がない」と断ると、2人は学生ローン業者の融資契約書を持ち出し、サインするよう迫ったが断ったという。
同センターは、業者側が近年、(1)就職への不安(2)大学内や出身高校などに人脈が豊富(3)社会的経験が浅い——などに目を付け、学生の勧誘に力を入れていると指摘する。
同センターの小堀伸彦主査は「無理に商品を買わせたり、『絶対もうかる』と説明するのは違法。商品を買っても20日以内なら解約できるクーリングオフ制度があるので利用してほしい」と話している。【吉井理記】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040513-00000001-mai-l09