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2004年05月13日(木) 06時38分

三菱自、基準緩和し虚偽報告 詳細な経緯判明朝日新聞

 三菱自動車製大型車のハブ破損をめぐる事件で、02年1月10日に母子死傷事故が起きてから、2月1日に同社が国土交通省に偽りの報告をするまでの詳細な経緯が神奈川県警の調べで分かった。虚偽報告をした動機の核心は、ハブの交換対象が販売した車両の40%にも上ってしまう事態を避け、リコールを回避するためだった。経営陣は「刑事事件になりかねない」と知りながら、「使用者の整備不良」との主張を貫くため、つじつま合わせを重ね、架空のグラフまで作っていた。

 調べでは、横浜市で母子死傷事故が起きた4日後の1月14日、三菱自動車元常務の花輪亮男(あきお)容疑者ら4人が国土交通省を訪ね、「事故原因は整備不良」と説明した。

 同16日には当時、トラック・バス部門の企画・管理本部長だった堀道夫・三菱ふそうトラック・バス会長が、国交省などへの対応を協議する場として「マルT対策本部会議」(Tはトラックの意味)の設置を発案し、同社前会長の宇佐美隆容疑者に進言。会議は翌17日から同2月1日にかけて計4回開かれた。

 初会合で出席者の一人が、国交省から「県警は捜査本部を設置した。業務上過失致死傷でやられるかも知れませんよ」と言われたと発言。「刑事事件になりかねない」との声が上がった。

 同省に再発防止策を求められた三菱自は、花輪元常務と元執行役員の越川忠容疑者らが1月20日、走行中に摩耗が進み、0.5ミリ以上に深くなったハブの交換を前提に「自主点検」を申し出ることを決め、宇佐美前会長に報告した。

 しかし、24日の第2回会議で「0.5ミリでは交換率が高くなりすぎる」と反発の声があり、検討の結果、「0.5ミリ以上」の基準なら交換率が40%になる一方、「0.8ミリ以上」に限れば半分以下の16.2%に抑えられることがわかった。

 当時、すでに三菱自が把握していた過去の事故では、0.1ミリの摩耗で破損した例もあり、基準は「0.5ミリ以上」でも甘かったと見られるが、同会議は29日、基準を「0.8ミリ以上」と決定した。前日に県警が行った母子死傷事故の実況見分で事故車両のハブの摩耗量が0.9ミリだったことが分かっており、会議は「0.8ミリ以上で国交省を説得できる」との認識で一致したという。

 この後、花輪元常務らは、国交省に対し「0.8ミリ以上の基準はハブの摩耗と残存寿命との関係から導き出され、それ以下なら100万〜200万キロの残存寿命がみこめる」と説明することを決めた。やりもしない実験をしたように装い、グラフなど偽の説明資料も作ったとされる。

 4回目の本部会議が開かれたのは2月1日。最終報告案が当時、三菱自副社長だった宇佐美前会長の個室で説明され、了承された。

 同日午後、元トラック・バス部門品質統括部長の望月進容疑者らが、捏造(ねつぞう)したグラフやハブ破損事故一覧表を持って国交省を訪れた。摩耗0.8ミリ未満で破損した事故7件は隠蔽(いんぺい)され、「摩耗0.8ミリ以上のハブを交換すれば、再発は防げる」とうその報告をしたとされる。(05/13 06:38)

http://www.asahi.com/national/update/0513/006.html