2004年05月13日(木) 00時00分
カニの名を不当表示の疑い いわて生協店頭に並んだアブラガニ。札には「ロシア産ボイルタラバガニ」とある=水沢市のいわて生協「コープアテルイ」で(朝日新聞・)
いわて生協「コープアテルイ」(水沢市佐倉河、主浜二三男店長)で今月初旬、アブラガニをタラバガニと表示して店頭に並べていたことが12日、わかった。タラバガニと判別しにくいアブラガニについて、農水省は昨年12月、正しく表示して販売するよう事業所を指導してきたが、同店は、その後も計34・7キロ(5万4千円相当)のアブラガニを、正しく表示せずに販売していた可能性があり、同生協事業本部では、販売履歴の調査を始めた。公正取引委員会は、景品表示法(不当表示の禁止)違反の疑いがあると、指摘している。
同事業本部によると、同店は今月2日、前日に仕入れたロシア産のアブラガニ8杯を、魚介類の販売部門のサブマネジャー(31)が「タラバガニ」と表示して、売り場に並べていた。同日午後2時ごろ、買い物客から指摘を受け、「アブラガニ」に書き換えた。カニはサイズによって、ボイルしたものだと、2500円と1500円で売っていたが、指摘されるまで買った客はなかったという。表示を正した後も、値段は変えなかったという。
一般にタラバガニは、アブラガニより、流通価格で平均3割ほど高いとされる。
同事業本部の小笠原克彦・水産部統括は「故意や悪意でやったのではない。サブマネジャーは、カニの区別がつかず、タラバガニと思って表示した」と説明している。
また、同事業本部の調査で、コープアテルイは、昨年末から今月までの4カ月間に販売したアブラガニも、タラバガニと表示して販売していた疑いがあることがわかった。同事業本部では事態を重く見て、過去のレシートなどをさかのぼって調べ、販売した事実が確認できれば、払い戻しにも応じる方針だ。
アブラガニとタラバガニは、いずれもタラバガニ科で酷似している。水産業関係者によると、タラバガニのほうがやや味が良いといい、甲羅の中央部の盛り上がった部分の突起の数が、タラバガニが六つあるのに対して、アブラガニでは四つあることを知っていれば、容易に見分けられるという。
農水省東北農政局は昨年12月、各農政事務所を通じて、この2種類のカニの表示を区別するよう指導。いわて生協でも昨年末、県内15店舗の責任者を集め、注意を促したばかりだった。
しかし、いわて生協ではその頃、アブラガニを入れたおせち料理(1万9800円)50セットを、チラシでタラバガニ入りとうたって販売。外箱の品質表示でアブラガニが使われていることに気付いた顧客からの指摘で、チラシの誤りを認め、全員に2千円ずつを返金していた。
同本部は「周知が徹底しておらず、このような事態になった。結果的に消費者を裏切ることになり、大変申し訳ない」と謝罪している。
公正取引委員会東北事務所は「結果的に、消費者に誤認を与えることになれば、違法性が強まる。再発の可能性があるかなどを含め、事案を個別に調べて判断する」としている。
(5/13)
http://mytown.asahi.com/iwate/news01.asp?kiji=5530
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