2004年05月12日(水) 14時20分
「疑わしきは通さず」のZoneAlarmが日本語化されて登場(ITmediaエンタープライズ)
米Zone Labsは5月11日、個人ユーザー向けパーソナルファイアウォールソフト「ZoneAlarm 4.5」日本語版の無償配布を開始した。同時に、機能を強化した有償の「ZoneAlarm Pro 4.5」の販売も開始し、日本市場での取り組みを本格化させる。
「ブロードバンドが普及すればするほど、危険性も高まる。PCに何も保護を施さなければ、ドアを開けっ放しにしているようなものだ」とZone Labs副社長のポール・ワインスタイン氏は語り、オンラインになっている端末すべてに保護が必要だとした。
ZoneAlarmは、いわゆる企業ゲートウェイに置かれるファイアウォールとは異なり、ユーザーの端末に直接インストールされ、そこで通信のフィルタリングやアプリケーションの挙動を監視するセキュリティツール。リリース以来、多くの日本のユーザーが英語版をダウンロードして利用してきたが、ローカライズ化のニーズに応え、バージョン4.5からユーザーインタフェースやヘルプなどを日本語化して提供することとした。
ZoneAlarmでは、端末に対する不審なアクセスやワームなどからの攻撃をブロックする。「ステルスモード」設定を有効にすれば、Pingやポートスキャンなどに応答を返さないようにし、攻撃者による予備行動からPCの存在を隠すことが可能だ。
また、個々のアプリケーションごとにインターネットに接続してもよいかどうかを設定でき、図らずも自分が加害者となったり、情報漏洩などに加担するようなケースを防ぐことができる。
特徴は、これらの設定を「ゾーン」という概念に基づいて切り替えられること。何らかの手段で守られた「信頼済みゾーン」と、外部に接続するときの「インターネットゾーン」の2つを、環境に応じて使い分けることにより、柔軟に利用できる。また、比較的知識のないユーザーでも利用できるよう、簡素化されたインタフェースを採用している。
有償版のZoneAlarm Proにはさらに、「伝統的」ファイアウォールと同様の細かなフィルタリング機能が加わっている。また、不要なCookieや広告をブロックするプライバシー機能、IDやカード番号といったセンシティブな情報が平文で送られるのを警告するIDロック機能なども利用できる。
問題は、実際に利用してみると分かるのだが、インストール直後はたびたびZoneAlarmが出す「警告」にわずらわされることだ。ユーザーによっては戸惑いがあるかもしれない。この面での問い合わせに応えるため、セールスパートナーとしてアークンと提携し、ユーザーサポートなどはアークンが行うという。
Zone Labsのコーポレート・コミュニケーションズ マネージャのコーリー・ブリッジス氏は、むしろこうしたアラートが頻繁に出ることによって、言葉を尽くすよりもよほどセキュリティ意識の向上につながるという。「いかに多くの攻撃が仕掛けられているかが分かり、セキュリティの必要性をすぐに認識してくれるだろう」(同氏)。
■セキュリティは「推定有罪で」
最近ではウイルス対策ソフトがパーソナルファイアウォール的な機能を備えるほか、マイクロソフトではWindows XP Service Pack 2によって、OSそのもののパーソナルファイアウォール機能の強化に努めている。しかしZoneAlarm製品群は、基本的にすべてのトラフィックを疑ってかかり、デフォルトで安全な方向を目指しているという点で、大きく異なるという。
「ウイルス対策製品の多くが『推定無罪』に基づき、危険であると判断するまで通信を許可しているのに対し、ZoneAlarmはまったく逆の『推定有罪』を取る。安全であることが保証されない限り、通信は許可しない」(ワインスタイン氏)。新たな脅威が続々と登場するようになっている今、推定有罪に基づくプロアクティブなアプローチが必要だという。
なお、今回はあまり触れられなかったが、同社では企業向け製品の「Zone Labs Integrity」の国内販売も進めていく。個々の端末の保護に加え、サーバによる一元管理が可能な製品で、最新のパッチが適用されているかどうか、ウイルス対策ソフトは更新されているかどうかといった事柄をチェックし、水準をクリアしない場合は企業システムへの接続を拒否することも可能だ。既に全世界で1400社ほどが、Zone Labs Integrityを採用しているという。
ZoneAlarm/同Proの動作環境は、Windows 98/Me、Windows NT/2000/XP。ZoneAlarm Proの価格は、1年間のアップデートとサポート付きで年額4500円からとなっている。
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