2004年05月12日(水) 14時48分
都内のベビーホテル、半数が“指導無視”(読売新聞)
夜7時以降も子供を預かる東京都内の無認可保育施設「ベビーホテル」のうち半数近い百以上の施設が、都の指導要綱で定めた基準に2年連続で違反していたことが分かった。
保育士が足りない、子供を詰め込み過ぎ——などで、前年度の指導が“無視”されたケースも目立った。女性の社会進出に伴い、増加しているベビーホテルを巡る保育行政の立ち遅れが浮き彫りになった。
ベビーホテルは届け出だけで開設できるが、都は一定レベルの保育条件を満たすよう、1982年に独自の指導要綱を定めた。
しかし、2001年3月に豊島区のベビーホテルで乳児が窒息死する事件が起きたため、都は要綱の基準徹底を目的に、同年11月から予告なしの立ち入り調査を実施。都内206施設の96%にあたる197施設で違反を指摘した。内容は、出入り口以外に非常口がない(51%)、職員が1人しかいない時間帯がある(43%)、児童1人あたりの面積が1・65平方メートルに満たない(10%)などだった。
都は違反施設を文書と口頭で指導した後、翌2002年9月から再び抜き打ち調査。235に増えた施設のうち、99%にあたる233施設で違反が見つかった。業者の入れ替わりが激しい中、2年度連続で違反を指摘された施設が109もあり、うち68施設は、前年度と同じ違反を指摘されていた。
都が“再犯”の理由をただしても、「補助金がないため、余裕がない」との答えが返ってくるばかり。雑居ビルなどで営業する形態も多く、都職員がひどい環境に驚くこともある。
ある施設は、保育スペースで犬を放し飼いにしていた。6畳程度の部屋に10人の幼児を詰め込んでいた施設では、1、2歳児に市販の弁当の空揚げや煮物を細かく刻んで与えていた。おまる、哺乳(ほにゅう)瓶、食器を同じ流し台で洗っていた施設もあった。
これらのケースでは、都職員がその場で強く指導し、その後も見回りに出向いている。
豊島区の窒息死事件では、都は事業者側に対し、児童福祉法に基づく改善勧告を出した。だが、改善勧告は児童の身に危険がある場合に限られ、最近5年間で計3回出しただけだ。
近年、認可保育所に入れない待機児童が増えているため、都は、認可保育所よりやや緩い独自基準を設け、「認証保育所」として補助する仕組みを作っている。都の担当者は「比較的優良なベビーホテルを認証保育所に移行させ、不良施設を淘汰(とうた)していくしかない」と話している。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040512-00000005-yom-soci