2004年05月11日(火) 03時04分
<牛肉偽装>買い上げリストに虚偽 農水省が公表見送り(毎日新聞)
BSE(牛海綿状脳症)対策の国産牛肉買い上げ事業で、国が02年10月に公表した末端業者のリストのうち、農水省が昨年末に大阪の2団体を通じた業者数や申請量が大幅に異なることを把握したにもかかわらず、公表を見送っていたことが分かった。虚偽が判明したのは、牛肉偽装事件で大阪府警が摘発した大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)と大阪府同和食肉事業協同組合連合会(府同食)で、リストは55業者が掲載されていたが、実際は18業者。巨額の税金が投入されたBSE対策が最後までずさんに行われたことが明らかになった。
公表リストでは、府肉連は26業者・団体から573トン、府同食は29業者・団体から1145トンを買い取ったとして買い上げ申請。しかし、2団体は昨年9月、農水省の委託で対策事業を行った農畜産業振興機構(昨年9月まで農畜産業振興事業団)に訂正を申し出、同機構が精査した。申請総量は変わらなかったが、助成金の支払先は、府肉連が10業者、府同食は8業者に変わり、大半は、浅田満容疑者(65)=補助金適正化法違反容疑で再逮捕=が統括するハンナングループ企業だった。同省は昨年末に報告を受けた。
中村敦夫参院議員(みどりの会議)が入手した農水省の資料で判明。浅田容疑者が影響力を持つ羽曳野市食肉事業協同組合(羽肉協)は、府同食を通じ217トン(4億1000万円)を申請したが、公表されたリストに記載されていなかった。また、ハンナングループの「大阪ミートパッカー」は府同食経由で666トン(12億7000万円)、府肉連経由で286トン(5億9000万円)で、申請量はリストより8倍に膨れ上がった。
農水省は「申請総量は変わらず、団体内部の訂正なので公表が必要と考えなかった」と釈明。中村議員は「業界の甘い体質が変わっていないことを示している」と批判している。
農水省は01年12月、業界6団体の買い上げ量だけを公表したが、雪印食品(解散)の牛肉偽装事件を受け、公表に踏み切った経緯がある。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040511-00000165-mai-soci