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C型肝炎の感染につながった恐れがある血液製剤「フィブリノゲン」をめぐり、厚生労働省が13日に予定していた納入先の開示で、469カ所の医療機関名のほとんどが開示されないことがわかった。医療機関が「風評被害の恐れがある」などとして異議を申し立てたためで、さらに異議が増えれば、開示はゼロになる可能性もあるという。
元大阪HIV薬害訴訟原告団の家西悟・元衆院議員が同省に対し、情報公開を求めていた。
同省は当初、「医療機関の利益を害する」として求めを退けていたが、情報公開審査会が2月、「医療機関の利益より、人の生命・健康を保護する利益の方が上回る」と判断。同省は、同製剤が納入されたとされる全医療機関約7000カ所のうち、製造元のミドリ十字(現・三菱ウェルファーマ)から得た13の文書に記されている469カ所の開示を決め、医療機関に開示の是非を確認していた。
だが、「納入された事実はない」「文書に載っている医療機関だけを公表すると、誤解を招く」などの異議申し立てが約20カ所からあった。1カ所でも異議を申し立てると、文書自体の開示ができなくなるため、13の文書のうち、現時点で開示できるのは数文書に限られ、医療機関名も2、3カ所にとどまる見込みという。
申し立てを受け、同省は情報公開審査会に諮問するが、答申が出るまで文書は開示されない。同製剤を投与された人への注意喚起が遅くなる可能性があり、同省は「輸血などでも感染する恐れがあるので、情報開示の時期にかかわらず不安な人は肝炎検査を受けてほしい」と呼びかけている。
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〈フィブリノゲン問題〉 フィブリノゲンは止血や臓器の接着用として産婦人科や外科などで広く使われていた血液製剤。原料の提供血液に肝炎ウイルスが混入し、投与された患者が感染する恐れが指摘されていた。投与された患者は資料のある80年から安全な製剤に切り替わった94年までで計30万人にのぼるとみられる。情報公開審査会が開示を求めたのは、三菱ウェルファーマが厚労省に提供したリストに載っている469カ所の医療機関だが、実際には計約7000カ所に納入されたとされ、同省は全医療機関名を年内にも公表する方針を決めている。
(05/11 07:48)