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[携帯電話]「競争を加速する『番号持ち運び』」
携帯電話の加入会社を変えても、従来の電話番号をそのまま使えるようにする「番号ポータビリティー(持ち運び)制度」が、実現に向け動き始めた。
総務省は二年後の導入を目指し、近く制度の具体案をまとめる。
最大のポイントは、1000億円前後とされる導入コストを、各電話会社と制度の利用者が、どんな割合で負担するかだ。制度を利用しない人も損をしない料金体系を築く必要がある。
携帯電話会社は、通話料金のほか、着信メロディーや画像送受信などのサービスで厳しい競争を繰り広げている。シェアの変動も激しくなってきた。
ただ、現在は加入会社を変えると新しい番号が与えられ、従来の番号は使えなくなる。番号変更を知人に通知する煩わしさが、電話会社間の競争にブレーキをかけている、といえるだろう。
欧州やアジアの各国は、競争を促進するため、五年ほど前から、相次いで番号持ち運び制度を導入している。電話会社の反対で出遅れていた米国も昨年、実現にこぎつけ、値下げ競争が激化した。
総務省が昨年秋、加入者を対象に実施したアンケートによると、番号持ち運び制度の活用に積極的なのは32%で、25%は消極的、残り43%は「持ち運び手数料の金額次第」だった。
妥当な手数料なら制度を活用したいという加入者が多いことを示している。日本も導入を急ぐべきだ。
制度を実現するための設備やソフトの開発費は、加入者の10%が利用した場合で915〜1404億円、運営費は年間7〜13億円と試算されている。
運営費は、実際に制度を利用するとき徴収する手数料で賄える。だが、開発費は電話会社が大部分を負担しないと、手数料が割高になってしまう。
電話会社は、加入者が払っている基本料の値下げのテンポを遅らせることで、その費用を捻出(ねんしゅつ)する考えのようだ。
総務省は「番号を持ち運べるメリットは、制度の利用者だけでなく、その人と通話をする人にも及ぶ」とし、電話会社の方針を容認する構えとされる。
しかし、制度を利用しない人のメリットは、利用者より少ない。電話会社が費用の全額を基本料に“つけ回し”するのは不合理ではないか。一部は電話会社が自己資金で負担し、利用しない人の理解を得られるようにしたい。
電話会社は新規加入者の獲得に、多額の販売促進費を投入している。長期契約割引を拡充するなど、一つの会社に長く加入している固定客のサービス向上も忘れてはならない。