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2004年05月10日(月) 14時11分

違法コピーの温床、「開発は合法」議論も…ウィニー読売新聞

 インターネットを通じて、互いのファイルを交換できる「Winny(ウィニー)」を巡り、京都府警は著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助の疑いで開発者の東京大助手、金子勇容疑者(33)の逮捕に踏み切った。

 ウィニーは国内だけで数十万人以上の利用者がいると言われ、「違法コピーの温床」と指摘されてきた“問題ソフト”だった。しかし、米国などではファイル交換ソフトの開発自体は違法性がない、との判決も出ている。今回の事件は、自由なネット社会の裏に潜む著作権侵害の危険性を浮き彫りにした。

 金子容疑者はネット上では「47氏」と呼ばれ、そのプログラミング技術が高く評価されていた。ネット掲示板群「2ちゃんねる」の交換ソフトを取り上げるコーナーで2002年4月、47番目に書き込み、開発を「宣言」したことから名付けられた。

 今年3月、ウィニー利用者だけに感染するウイルスが広まり、京都府警や北海道警の捜査報告書、高知市消防局の火災報告書、陸上自衛隊の隊員名簿などが相次いで流出。容疑者の実名なども記載されていたため、警察官らのウィニー利用に批判も高まっていた。

 金子容疑者は、「企業は警察の摘発に頼り、著作権法違反を防ぐようなビジネスモデルを模索しない。現行の体制を崩壊させ、著作権法違反をまん延させるため、ウィニーを作った」と供述しているという。

 ファイル交換については、音楽ファイルを扱う米国の「ナップスター」社のサービスが知られており、一時は世界中の6000万人以上が利用したと言われる。米連邦高裁は2001年2月、「著作権者に悪影響を与える」と著作権侵害を認め、同社にサービスを停止するよう命じた。

 しかし、個人同士がネット上でファイルを交換できるソフトは、その後も米国を中心に各国の愛好家たちが次々に開発。日本国内では現在、十数種類のソフトがあるといわれ、今回問題となった「ウィニー」と、「WinMX」が人気を2分している。

 ◆ブロードバンド普及で問題拡大◆

 データをコピーしあえるファイル交換ソフトは、2000年3月に現れた「グヌーテラ」がその源流だ。

 その後、使い勝手に工夫を加えた“亜流”や“発展型”の交換ソフトが出現したが、Winnyもその一種。こうしたソフトは当初から音楽や高価な画像処理ソフトなどのファイルを違法にコピーすることに多用され、違法性が指摘されていた。

 利用者は自分が欲しいファイル名を指定。その情報が、同じ交換ソフトを導入した世界中の他のパソコンに順次伝わる。目的のファイルを保有しているパソコンが見つかると、相手方から自分のパソコンに自由にコピーできる仕組みだ。当初はインターネットの回線の能力が低く、大量のデータ送信は困難だったが、最近の「ブロードバンド」の普及により、音声のみならず、映画、高価な画像処理ソフトなどがやり取りされるようになっていた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040510ic10.htm