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2004年05月08日(土) 16時44分

三菱自、破損原因から「融雪剤」削除 広島のバス事故で朝日新聞

 三菱自動車製大型車の金属部品「ハブ」の破断をめぐる業務上過失致死傷容疑事件で、JRバスの前輪が脱落した99年の事故について旧運輸省から報告を求められた同社が、ハブの欠陥をうかがわせる報告を意図的に隠した疑いがあることが新たにわかった。同社は92年から続いていたハブ破損の原因を「整備不良」としてきた。神奈川県警は、使用者側に責任転嫁する従来の説明が崩れることを恐れた結果の隠蔽(いんぺい)工作と見て調べている。

 事故は99年6月、広島県内の高速道路を走行中のバスでハブが破断して起き、バス会社から通報を受けた旧運輸省が三菱側に原因の調査と報告を求めた。

 関係者によると同社は市場品質部を中心に「個別対策会議」を開催。3回目の会合でメンバーの一人が破断の原因について「路上に大量に散布された塩を主な成分とする融雪剤の付着による可能性がある」との見解を盛り込んだ報告書を提出した。破断したハブには実際に融雪剤が付着していたとされる。

 しかし、ハブは廃車まで交換を予定しない重要保安部品として、通常の使用状況では絶対に壊れない品質が要求されるため、その後の議論で「融雪剤を原因とすると『ユーザーの責任』という従来の主張に反し、ハブそのものに欠陥があることになる」という反対意見が出て、最終的にまとまった報告では「融雪剤」は削除された。県警は、この削除に元同部員の三木広俊容疑者(56)=6日に同容疑で逮捕=が関与したとみて調べている。

 元同部長の村川洋容疑者(58)=同=名義で、同年9月に旧運輸省に提出された「不具合等原因調査報告書」は破断原因について「整備上の問題があった」とし、「同種苦情はなく、多発性はないので処置は不要」と結論づける内容だった。

 県警など捜査当局によると、同社は99年時点ではハブの欠陥の有無を突き詰めて調査しておらず、個別対策会議では自社の責任にならないような原因を考え出すことに主眼が置かれていた。融雪剤が原因とした場合、積雪の多い地域では使えない欠陥部品とされかねないことから、あえてこうした見解を隠したとみて調べている。

 自動車工学の専門家は「融雪剤が原因だとすれば、力がかかる部分に融雪剤が付いて腐食したことを意味し、構造上問題があったことになる」と指摘している。

 業務上過失致死傷容疑の対象となる横浜市の母子死傷事故は、JRバス事故から2年半後の02年1月に起きた。村川元部長と三木元部員には、少なくともこのバス事故の後には、リコール(無償回収・修理)などの適切な改善措置をとってその後の事故を防止する注意義務があったとされる。

 母子死傷事故をめぐって県警は、大型車部門の最高責任者だった三菱ふそうトラック・バス前会長の宇佐美隆容疑者(63)ら5人も道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で逮捕し、三菱自動車が組織的に行った隠蔽工作の全容解明を目指している。(05/08 16:44)

http://www.asahi.com/national/update/0508/015.html