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神奈川県警に逮捕されたのは三菱自動車の元副社長で、同社から分社した三菱ふそうトラック・バスの前会長ら七人。容疑は二〇〇二年一月に横浜市で起きた母子死傷事故での業務上過失致死傷と道路運送車両法違反(リコール隠し)だ。硬直した経営がいかに社会に悪影響を及ぼすか、徹底的な解明を望みたい。
横浜市の事故の原因とされる車輪を支えるハブ部分の破損は、一九九九年に広島県で起きた事故の時から指摘されていた。それ以来十回にわたって同様の事故が起きたが、三菱自動車はすべて「整備が悪い」とユーザーに責任転嫁してきた。
警察側は疑惑を持ちながら、車両の欠陥と断定できなかったのは、ハブのトラブルのたびに三菱側から結果として偽造の疑いが強い「点検整備し、正常に管理されていれば問題ない」という趣旨のデータが示されていたことによる。
事故が度重なるのに、このデータの矛盾が見破れなかったのは、この種の技術捜査に対する当局の不慣れまたは能力不足を指摘せざるを得ない。さらに国土交通省との連携不足も一因であろう。
道路運送車両法の公訴時効は三年である。今回二年四カ月というすれすれのところで摘発に間に合った。三菱側の虚偽と思われる説明に惑わされていたら、あやうく時効が成立するところであった。今後、捜査のスピードアップが課題となる。
技術革新時代の企業犯罪には先端技術が絡んでくる事件が増えることは間違いない。時効にかからないよう捜査のスピードを上げるには、関係官庁はもちろん業界、大学などとの緊密な協力が必要であろう。
業績好調な日本の自動車業界で、なぜ三菱だけがトラブルを続発させるのか。三菱グループから一九七〇年に分離独立した三菱自動車は、歴代のトップが三菱グループや提携先の独ダイムラークライスラーからの派遣者であった。
どの歴代トップもグループや親会社からの忠実な使者ではあったが、世界四万五千人を擁する自動車製造販売業の経営者としてのリーダーシップを十分に発揮したとは言えない。内向きな事なかれ主義が社内に充満していたことがうかがわれる。
いつかはグループや親会社が救援してくれるのを待つ体制では、組織の再出発は望めない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040507/col_____sha_____002.shtml