2004年05月06日(木) 11時02分
<タイヤ脱落事故>三菱自幹部7人に逮捕状 虚偽報告などで(毎日新聞)
三菱自動車(三菱ふそうトラック・バスに昨年1月分社)製大型トレーラーのタイヤ脱落による02年1月の横浜市の母子3人死傷事故に絡み、神奈川県警など捜査当局は6日、国土交通省に虚偽の報告をした道路運送車両法違反(虚偽報告)の疑いで、三菱自の元副社長で三菱ふそうトラック・バスの宇佐美隆前会長(63)と三菱自の花輪亮男元常務(63)ら5人、部品の欠陥を放置した業務上過失致死傷の疑いで同社品質保証部門の元部長(58)ら2人の逮捕状を取った。同日午後から7人の取り調べを始め、容疑が固まり次第逮捕する。また、同日午前、東京都港区港南2の三菱自本社を家宅捜索した。捜索は昨年10月と今年1月に続く3回目となる。
三菱自は00年に発覚したリコール隠し事件でも、道路運送車両法違反罪で同社と当時の役員が罰金刑を受けている。同社の組織的な隠ぺい体質が改めて問われることになる。
道路運送車両法違反による強制捜査は異例。捜査当局はリコール隠し事件で01年に略式命令を受けながら、虚偽報告が繰り返されたことを重視した。法人としての三菱自も同法違反容疑で書類送検する方針。
宇佐美前会長は横浜の事故当時、三菱自の副社長として大型車部門を統括。花輪元常務も同部門の開発本部長だった。
調べや関係者によると、同社は横浜の事故直後の02年2月上旬ごろ、脱落原因の金属部品「ハブ」の破損について十分に検証せず、ハブの摩耗と耐久性に相関関係があるとする虚偽のデータを国交省に提出したとされる。その後、花輪元常務が責任者だった社内の原因検討チームは、摩耗の有無にかかわらずハブが破損することが判明しても、今年3月まで同省に報告しなかった。
元部長らは99年6月、広島県内の高速道路を走行中の中国ジェイアールバスの路線バスから右前輪が脱落した事故で、ハブの構造的欠陥を認識しながら、原因は「整備不良」と結論付け、リコール(回収・無償修理)など安全対策を怠った疑いが持たれている。
ハブ破損によるタイヤ脱落は92年から続発していたが、整備不良や過積載を疑いにくいバスの脱落事故は初めて。県警などは遅くともこの時点で将来の事故を予見できたと判断。安全対策を取っていれば、横浜の事故などを防げたとみている。
◆ことば◆横浜の母子3人死傷事故
02年1月10日午後3時50分ごろ、横浜市瀬谷区の神奈川県道で、三菱製大型トレーラーの左前輪が脱落。下り坂を約50メートル転がり、歩道を歩いていた神奈川県大和市の主婦、岡本紫穂さん(当時29歳)が直撃を受けて死亡、一緒にいた長男(同4歳)と二男(同2歳)も負傷した。脱落の原因は車輪と車軸をつなぐ金属部品「ハブ」の破損。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040506-00001014-mai-soci