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2004年05月06日(木) 12時31分

三菱ふそう本社など捜索 前会長らに逮捕状 脱輪事故朝日新聞

 横浜市で02年1月、三菱自動車製トレーラーの車輪が外れ、母子3人が死傷した事故で、神奈川県警は6日までに、同社の商用車部門を引き継いだ三菱ふそうトラック・バスの宇佐美隆前会長(63)と三菱自動車の花輪亮男元常務(63)ら5人について道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で、同社の村川洋・元市場品質部長(58)ら2人について業務上過失致死傷容疑でそれぞれ逮捕状を取った。7人を取り調べ、同日午後にも逮捕する方針。また、同日朝から東京都港区の三菱ふそう本社など関係先の家宅捜索を始めた。

 ほかに逮捕状を取ったのは、越川忠・前三菱ふそう常務執行役員兼品質・技術本部長(61)と、三菱自動車の望月進・元トラック・バス部門品質統括部長▽柿沼彰・元同品質情報部長=以上、虚偽報告容疑。同社の三木広俊・元市場品質部員=業務上過失致死傷容疑。

 死傷事故で始まった捜査は2年4カ月を経て当時の首脳が強制捜査を受ける事態に発展した。三菱自動車では00年7月に大量のリコール(無償回収・修理)隠しが発覚。今回も捜査対象となった村川元部長や元副社長ら4人と、法人としての同社が道路運送車両法違反(虚偽報告)の罪で略式起訴され、罰金刑を受けており、自動車製造の本業で再び刑事責任が問われることになった。

 捜査当局は4月下旬に宇佐美前会長を任意で事情聴取したが、前会長は虚偽報告への自身の関与を否定した模様だ。前会長らをめぐっては、刑事責任を免れる目的で証拠を隠した証拠隠滅容疑も浮上しており、捜査が続いている。

 母子死傷事故は、車輪と車軸をつなぐ金属部品「ハブ」の破断が原因。同社製の大型車では同種の事故が92年から死傷事故までに39件と多発し、このうち33件で車輪が外れていた。同社は「整備不良が原因」と主張し続けたが、今年3月に一転、製造者責任を認め、リコールを届け出た。

 調べでは、宇佐美前会長ら5人は死傷事故後に設置された社内調査班のサンプル調査で、ハブの欠陥を示すデータを得ていたが、国土交通省に「ユーザーの整備不良が原因だった」とする虚偽の報告をした疑い。

 宇佐美前会長は当時、三菱自動車の副社長でトラック・バス部門を統括する社内組織「三菱ふそうトラック・バスカンパニー」の社長でもあった。花輪元常務は同副社長兼開発本部長で、調査班の責任者も務めていた。

 また、村川元部長ら2人は99年6月に広島県内の高速道路で起きたバス事故などを通じ、ハブに強度不足の可能性があり、破断で車輪が脱落すれば重大事故につながることが予見できたのに、リコールなどの安全対策を怠って横浜での死傷事故を起こした疑い。

 バスはトレーラーなどに比べて過積載や整備不良の問題が起きにくいとして、捜査当局はこの事故を重視してきた。バス事故後、当時の運輸省から原因究明を求められた同社は対策会議を経て「整備時の問題」と報告。村川元部長ら2人はこの会議の中心メンバーで、同省への報告書は村川元部長名義だった。(05/06 10:54)

http://www.asahi.com/national/update/0506/007.html