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フィリピン中部レイテで、個室インターネットカフェが大繁盛している。豊かな先進国の男性との結婚を求めて出会い系サイトを利用する女性が殺到しているからだ。(レイテ島タクロバンで 中谷和義)
「今つきあってるのは50代、60代のアメリカ人3人ね」。島の中心都市タクロバンのネットカフェ「ロイス」。個室内に置かれたインターネットカメラ付きパソコンで3時間のチャットを終えたシェリルさん(23)は肩をすくめた。
シェリルさんは大学で会計学を学んだが職が見つからず、カフェ通いがいわば“就職活動”だ。1回3時間、週3回のペースで通っている。1時間25ペソ(約50円)の使用料は父親持ち。「早くいい人が見つかるといいね、って応援してくれるの」と、屈託がない。
タクロバンにネットカフェができ始めたのは、5年前。現在は21軒が営業する。カフェ「クイーンズランド」では、米国が昼となる午後9時—翌朝8時まで、時間無制限で400ペソ(約800円)の「ハッピーアワー料金」を設定する。他の時間帯に比べ1時間あたり10ペソ以上割高だが、出会いの確率が高まるため、行列ができるという。
「すごくもうかってるわよ」と、女性経営者(47)。しかし、まもなく店を手放すという。昨年チャットで知り合ったオーストラリア・ブリスベーンの実業家(61)と結婚し、渡豪するためだ。
「辺境」と見なされ、共産ゲリラの勢力が今も強いレイテは、フィリピンで最も貧しい地域の1つだ。外国にメードとして働きに出たり、日本で働く「ジャパゆきさん」になったりする女性も多い。ネットでの外国人恋人探しブームも、この延長線上にある。
地元紙デイリーエクスプレスのミリアム・デサカダ記者によると、女性たちはプロポーズされることを最優先するため、細かい条件を気にしない高齢の男性を主なターゲットとする。
リゾート地でもないタクロバンには、欧米人男性の姿が目立つ。ネットの「恋人」と会うためやってきたのだ。男性にしなだれかかる女性を横目に、デサカダ記者は「1人が結婚して豊かになると、われもわれもとネットに群がる。まるで伝染病」と嘆いた。
出会い系サイトにつきものの悲劇もある。タクロバンでは今月1日、17歳の少女が自殺した。デサカダ記者によると、13歳の時にネットで知り合った26歳年上の米国人男性が島に来る約束を守らず、首をつったのだという。また、最近、13歳の別の少女が米国人と「結婚」した。相手は、71歳だった。