2004年04月28日(水) 05時26分
困った、納骨できず 檀家が被害者の会 仙台の宗教法人(河北新報)
天台宗の宗教法人仙岳院(仙台市青葉区)が太白区萩ケ丘に建設した納骨院が完成から2年半たっても開かれず、多額の契約金を払って永代供養の生前契約を結んだ高齢者らが怒っている。開寺できないのは、寺が建設費を工面できず、建物の引き渡しを受けられずにいるから。契約後に死亡する人も出始め、契約者のうち約30人は先月、「これ以上待てない」と被害者の会を設立した。
<契約者は100人>
会として早急に開寺するよう求める活動を強め、刑事告訴も検討するという。
被害者の会などによると、納骨堂は2001年10月に完成した。地上5階、地下1階で、約3000人の納骨壇(室内墓)が設置されている。墓地の少ない都市住民向けに、契約すると生前から位牌堂の使用や納骨の権利を得られる仙台初のシステムだった。
仙岳院は1998年の着工と前後して、会員制で契約者を募集した。「宗派や国籍など制限なし」とうたい、テレビタレントも投入して宣伝。契約者は100人ぐらいに上ったという。
<既に10人死亡>
契約したのは大半が年金生活者。被害者の会の約30人は一人当たり220万—280万円を支払ったが、「一番上のランクだと、400万円以上納めた人もいる」(男性契約者)という。契約者の一人は「契約後に死亡した人も10人ぐらいに上る。仙岳院は解約にも応じておらず、われわれが払ったなけなしのお金をどうしてくれるんだ」と憤る。
被害者の会が4月上旬、仙台市で開いた集会でも「募集当時の住職は天台宗でも位が上の人だと聞かされ、信じて契約した。やっと安心して墓に入れると思ったのに、だますとはどういうことだ」と、怒りの声が相次いだ。
関係者によると、納骨院が開かれないのは、仙岳院が未払い分の工事費約14億円を建設業者に払っていないため。業者が支払いを求めた訴訟が仙台地裁で争われている。現在は仲介に入った天台宗本山が、納骨堂の建設事業を仙岳院から引き継いだ別法人、仙岳院別院萩恩院の代表権を取得し、早期開設を目指している。
<訴訟進展せず>
しかし、建設業者は「訴訟に目立った進展は見られない」と話しており、時間がかかりそうだ。市への納骨堂経営許可申請もまだ行われていない。
仙岳院別院萩恩院は「契約した檀家(だんか)に迷惑をかけているが、裁判も見通しがついている。6月中には開寺したい」と話している。
http://www.kahoku.co.jp/news/2004/04/20040428t13038.htm