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2004年04月27日(火) 19時04分

複雑な流通 追跡 丹波町鳥インフルエンザ京都新聞

さまざまなルートで素早く流通する卵。浅田農産の卵も全国に出荷されていた(京都市下京区・鶏卵卸会社)    「うちに入った卵は大丈夫なのか」。浅田農産船井農場で鳥インフルエンザ感染が発覚した2月27日朝、京都市下京区の鶏卵卸会社が浅田農産本社(兵庫県姫路市)に電話した。3日前、「アサダ」の文字が目立つ段ボール約400箱分の業務用卵を仕入れ、すでに製パン店や飲食店など約50店に届けていた。「すぐにあの段ボールを集めろ」。社長(62)は携帯電話であわただしく従業員に指示を飛ばした。
 「ずいぶん遠くまで行っているぞ」。同じ日、船井農場から出荷された卵の流通をつかもうとしていた京都府商工課の職員は、1枚の紙を手にしていた。浅田農産本社からファクスで届いた卵の出荷表。近畿だけでなく、遠くは神奈川県や新潟県の業者も記載されていた。「どれが船井農場の出荷分か」。同本社に問い合わせたが、「すぐには分からない」。
 3月1日朝、職員2人が本社に直接出向いた。伝票の束を1枚ずつめくって調べたが、流通ルートは錯綜して、船井農場産を特定するのは困難を極めた。本社で一括受注するが、出荷は農場直送とは別にアサダエッグセンター経由があり、船井農場産の卵がセンターで、他農場産の卵と混在したりする。
 配送指示書、担当社員の記憶と伝票を1つ1つ付き合わせ、鶏が大量死した期間の1次出荷分を突き止めた。実に約98万個が、17府県に運ばれていた。
 出荷された卵の1ルートを追跡すると、神奈川県の加工工場でゆで卵にされた後、各地に届けられた。三重県ではサンドイッチの材料に使われ、遠くは青森県の消費者の手に渡った。これは大手コンビニ会社から「船井農場のブランド卵を使いたい」との注文で出荷された卵だった。
 「スーパーの要求にこたえ、大量の卵を毎日納入するには、複数の地域から大量に、素早く運ばないといけない」。宇治市にある鶏卵卸会社の社長(54)は、卵の流通ルートの複雑さ、広域・スピード化の背景を、こう説明した。同社は毎日、卵数10トンを遠く九州や中国地方の養鶏農家から取り寄せ、主にスーパーに納めている。
 「スーパーの全国チェーン化、大型化が進むにつれて、養鶏農家も大きくなってきた。小さな養鶏場では、需要を満たせないし、運送費の割も合わない」と同社長はつぶやいた。
 スーパーなどを通じて、全国に販路を築いてきた浅田農産から、感染の恐怖が広がった。(京都新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040427-00000046-kyt-l26