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〈おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ〉だと「徒然草」にある。思うことを胸のうちにしまいこんでおくのは難しい。人に話してはならぬ事ならなおさら重苦しい気分になる◆だから「昔の人は語ってはならぬ事を言いたくなると、穴を掘りその中に思うことを言った」と、これは「大鏡」にある◆先週、衆院を通過した「裁判員法案」でこの話を思い浮かべた。素人である有権者が裁判員になったときの〈守秘義務〉が法案の一つのポイントである。口をすべらせた違反には罰則がある◆原案の「一年以下の懲役」を「六か月以下」に軽減、職務を終えた後なら原則、罰金とするなど修正、成立を目指しているが、審議は十分だったか。素人が罰則におじけぬよう、裁判員の辞退理由の明確化とともに参院でさらに審議を尽くしてほしい◆徒然草は西洋の話〈王様の耳はロバの耳〉も連想させる。秘密を知った床屋が穴の中にそれを叫んだ。後に生えた葦(あし)が風にそよぐと、その言葉をささやき、秘密は知れ渡った◆洋の東西を問わず、人の口に戸を立てるのは難しい。