2004年04月26日(月) 03時04分
<牛肉偽装>浅田容疑者 農水省幹部に再三窮状訴える(毎日新聞)
大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)の牛肉偽装事件で逮捕された府肉連副会長の浅田満容疑者(65)が、BSE(牛海綿状脳症)対策を国が検討していた01年10〜11月、農水省の担当幹部を訪れ、食肉業界の窮状を訴えていたことが25日分かった。浅田容疑者は対策を見越したように、安い輸入肉や乳廃牛を買い集め、焼却処分も早期に進めて偽装の発覚を遅らせた。大阪府警は、農水省担当者から対策決定の経緯などを参考人聴取しているが、対策が業界に影響力を持つ浅田容疑者の意向を強く反映したものとの疑惑が深まってきた。
◇農水省幹部は「実力者だから何度も会った」
01年9月、国内初のBSE感染牛が発見され、10月18日、農水省は全頭検査を開始。既に出荷された牛肉を市場から隔離する「牛肉在庫緊急保管対策事業」も始めたが、浅田容疑者のハンナングループは肉を安く買い集めた。市場は低迷し、1キロ500円前後で売った業者は「助かった」と喜んだが、10月末に決まった国の買い上げ価格は1キロ1114円で、利ざやは大きいとみられる。
農水省には、業界6団体に未加入の業者らからの買い上げ陳情が殺到。浅田容疑者はそのころ農水省幹部(当時)を直接訪ね、業界の窮状を訴えた。幹部は「実力者だから何度も会った。こちらも業界の状況を知りたかったが、(浅田容疑者から)『ああしろ、こうしろ』などの圧力はなかった」と話している。
◇農水省も輸入肉買い取りと認識?
逮捕された「平成フーズ」(広島県呉市)の田尻正司容疑者(56)も農水省や国会議員事務所に押しかけ、農水省は、肉の買い取りを浅田容疑者に依頼。関係者によると、田尻容疑者は農水省に「輸入肉も買い上げろ」と迫り、肉の大半が輸入肉ということは浅田容疑者も知っていたという。田尻容疑者は「輸入肉だと言った」と供述しており、取引対象が輸入肉だと農水省が認識していた可能性もある。
◇手際よい焼却処分
01年12月、国は隔離牛肉の焼却処分を決めた。府肉連と、浅田容疑者が会長の大阪府同和食肉事業協同連合会(府同食)の肉約1600トンは、全箱検査開始前の02年3月までに、大阪府柏原市の「柏羽藤クリーンセンター」で焼却された。
保管の方針だった01年10月ごろ、ハンナングループ側は「1カ月に500トンの肉を運べる業者を集めてほしい」と運送業者に依頼しており、既に焼却準備をしていたとみられる。ある業界団体の幹部は「うちは約300トンだったが、02年夏ごろまでバタバタした。大阪は手際よく、驚きだった」と話す。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040426-00000118-mai-soci