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[無認可共済]「消費者のシグナルを無視するな」
消費者が発する不安や苦情といったシグナルを行政が無視していると、被害が続出する事態を招くことにもなる。
保険会社並みに大規模に“保険事業”を手がける「無認可共済」も、そうした恐れがある問題の一つだ。「安い掛け金」をうたい文句に、多くの加入者を集めている。
国民生活センターには、無認可共済に対して、マルチまがいの取引に関する苦情や、経営の先行きを心配する問い合わせが急増している。
首相の諮問機関である金融審議会が、この問題を取り上げ、法規制の可能性について検討に入った。早急に結論を出してほしい。
共済の基本は、地域や会社の仲間がお金を出し合い、集まった資金の中から医療費や葬祭費などを支出して助け合う仕組みだ。
その共済には、認可共済と無認可共済がある。認可共済は、JA共済や全労済のように特定の法律に基づいて設立されている。問題になっているのは、無認可共済の中でも、互助会の性格を超えて保険会社と同じように事実上、不特定多数の加入者を集めている組織である。
保険業法は、保険会社の定義として「不特定の人」を対象にする、と規定している。無認可共済は特定の会員組織を作り、加入者をその会員にしているため、保険業法の適用から外れている。
契約に当たって、消費者の自己責任が厳しく問われるのは言うまでもない。だが、無認可共済は、経営内容の公開が義務づけられていないため、消費者が十分な判断材料を得られないことに大きな問題がある。
保険業界には、保険会社が破綻(はたん)した場合、契約者を保護する制度がある。無認可共済はこうした制度がなく、加入者は出資金が戻らなかったり、病気などになっても契約通りの保障を受けられなかったりする恐れがある。
金融庁は無認可共済の詳しい実態をつかんでいない。まず、実態を早急に調べる必要がある。その上でどのような法規制をかけたらいいかを検討すべきだ。
経営情報の公開は欠かせない。商品に対する当局のチェックも必要だ。金融庁が問題のある共済に対して検査に入ることができるようにし、破綻した場合に契約者を保護する仕組みを講じることも検討課題である。
無認可共済が加入者を集めているのは生保会社の相次ぐ破綻から保険会社への不信感が強まったことも背景にある。保険会社は、自ら失った消費者の信頼を取り戻さなければならない。