2004年04月21日(水) 03時03分
裁判員法案、「守秘」違反は原則罰金…自公民が合意(読売新聞)
自民、公明、民主の3党は20日、政府が今国会に提出している裁判員法案について、職務終了後の裁判員には原則として懲役を科さないなど、守秘義務違反に伴う罰則を軽減する修正で基本合意した。
これにより、法案は週明けにも衆院を通過する見通しで、今国会で成立する公算が大きくなった。
裁判員法案は、重大な刑事裁判の審理に国民が参加する仕組みを定めるもので、国民の良識を裁判に反映させるのが狙いだ。政府案では、「裁判官3人、裁判員6人」の人数構成の原則のほか、裁判員には職務中や終了後にかかわらず、職務上知り得た秘密を守る義務があり、違反すると「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処される、とする規定などを盛り込んでいる。
3党の基本合意では、この規定を、〈1〉現役の裁判員は罰則の懲役期間を「1年以下」から「6月以下」に短縮する〈2〉職務終了後の裁判員は、罰則は罰金を原則とし、報酬を受けて秘密を漏らすなど悪質な事案に限り、「6月以下の懲役」も適用できる——と改める。「悪質な事案」の定義は引き続き検討する方針だ。
守秘義務違反の罰則については、民主党が14日にまとめた修正要求で、懲役の削除を求めていた。日本弁護士連合会(日弁連)や市民グループなども、「懲役は不要であるばかりか、国民の参加意欲を委縮させる点で有害だ」(本林徹・前日弁連会長)と強く批判していた。
政府・与党は「悪質事案の処罰のために懲役刑は不可欠だ」と主張してきたが、法案成立に民主党の協力を得るためには一定の譲歩が必要と判断し、現役裁判員や悪質事案への懲役は残す形で、罰則の軽減に応じた。
民主党は、今回の修正に関する評価を21日の「次の内閣」で検討するが、党内では「最も強く修正を求めていた懲役が、原則として現役だけに限られたのは大きい」との声が出ている。同日中に正式に修正合意に達すれば、3党は週内にも衆院法務委員会で採決する考えだ。ただ、裁判員を辞退できる理由などに関しては、引き続き協議を続ける方針だ。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040421-00000001-yom-pol