2004年04月21日(水) 19時49分
三菱ふそうが品質諮問委を設置、大型車タイヤ脱落問題で(ロイター)
[東京 21日 ロイター] 大型車タイヤ脱落死傷事故問題で、三菱ふそうトラック・バスは21日、社外専門家数人と堀道夫新会長で構成する品質諮問委員会設置を柱とした再発防止策を発表した。対応の遅さが目立った一連のリコールに伴う信頼失墜を、早期に回復させるのがねらい。
品質諮問委員会では、技術分野などの社外専門家を含めた複数人で、品質管理面での課題を毎月、社長に直接報告。さらに、透明性のある企業文化に変革するため、12人の中間管理職から成る企業文化改革推進委員会を設立する。
また、品質と安全を経営の最優先課題とし、これまで一体となっていた試験部門と開発部門を分離。これに伴い、管理職層を一段階省き、意思疎通の迅速化を図る。
引責辞任した宇佐美隆・前会長の後任に正式に決まった堀道夫会長は、21日の記者会見で、「今後の課題は人材の育成と企業文化の改革。1日も早く会社の変革を遂げて、信頼を回復したい」と述べた。
<「国土交通省と共通の理解」、サンプル調査未報告認める>
同日、記者会見したビルフリート・ポート社長は、2002年6月の横浜市のタイヤ脱落死傷事故後、国土交通省による立ち入り検査で同社が提出したと主張するデータをめぐり、「国土交通省の4月6日の発表通りで共通の理解だ」と述べ、事実上、未報告であったことを認めた。
また、同社長は「ハブ破損原因追求が不十分だったことに加え、安全面への配慮も不足していたことに遺憾の意を表明する」と述べた。
国交省は今月6日、タイヤと車軸をつなぐ部品「ハブ」の欠陥に関する報告を、一昨年の特別監査の段階で三菱側から受けていなかったと表明。一方、3月24日に記者会見した三菱ふそうは、2002年6月に実施した特別監査の際に「書面で(国交省に)差し上げた」と説明 していた。
同省では、道路運送車両法違反容疑での告発も視野に「さらに詳しく調べる必要がある」としている。
経営責任問題では、堀会長が「役員の一人として重く受けとめている」とする一方、捜査が続いていることや社内調査を続けているため、「結果を待ってからしかるべく対処する」と述べるにとどめた。
<リコール問題に伴う販売への悪影響は依然、不透明>
三菱ふそうでは、65億円に上るリコール費用の全額を2004年3月期に織り込むが、昨年11月に公表した売上高8500億円(前年比17%増)、営業利益300億円(前年は86億円)は達成できる見通しだ。
同社の堀会長は記者会見で、リコール問題が業績に与える影響について問われ、「(2003年度の業績計画は)何とかクリアできる」と述べた。
ただ、今年度の販売に与える影響については依然、不透明感がぬぐえない。ポート社長は「(リコール問題に伴い)市場の動向は注視している。インパクトを最小限に抑えるため、販売店とも協力して積極的に対策を取る」とするが、「(排ガス規制の反動で)総需要が減る中で、リコール問題もあり、予測が難しく、何とも言えない」(堀会長)としている。(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040421-00000197-reu-bus_all