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2004年04月21日(水) 00時00分

謝罪受け「説明不足」 済生会診療記録流出陳謝する済生会病院の中沢賢次院長(左から2番目)朝日新聞・

県済生会宇都宮病院の中間レセプト約150人分が流出した問題で、同病院の中沢堅次院長は20日記者会見し、「個人情報の持ち帰りは禁止していたが、現場で周知されていなかった」と述べ、病院側の情報管理が不十分だったことを認め、陳謝した。

 院長によると、中間レセプトをごみ収集所に廃棄した女性事務職員(19)は「これほど重要なものという意識はなかった」と話しているという。院長は「医療サービスではすべてがプライバシー情報であることを、医療者だけではなく事務関係者にも徹底する必要を痛感した」と述べた。

 院内での個人情報の取り扱いについては、昨年6月に作成した情報管理の内部規定で「外への持ち出しはいけないとうたっていた」と釈明。しかし、「現場で徹底されておらず、私たちの管理の問題と受け止めている」と組織的な対応ができていなかったことを認めた。

 さらに、その規定の内容もコンピューターシステムからの情報漏洩(ろう・えい)防止に重点を置いていたとし、「こうした事故防止に有効な規定ではなく、盲点をつかれた」と述べ、現場への目配りが不十分だったことを原因の一つに挙げた。

 再発防止策としては、中間レセプトのほか、初診申込書や心電図、処方箋(せん)など院内で扱われる個人情報をすべて洗い出し、一つ一つ具体的に取り扱い方法を確認した規定を新たに設けるという。

診療報酬明細書の下書き(中間レセプト)約150人分が流出した県済生会宇都宮病院は20日、患者に対する謝罪に追われた。判明した36人の患者や家族は自宅で説明を受けたが、患者側からは再発防止を求める声とともに、「説明不足。どこまでの情報が放置されたのかがわからない」と不安の声も聞かれた。病院は流出した可能性のある患者1407人に謝罪文の郵送を始めた。

 「まさか病院から漏れるとは……」。県北の70代男性は自分の情報が流出したと知り、驚きを隠さなかった。昨年手術を受ける前、自分の生活習慣や体の情報を全部伝えたことを思い出した。「信頼していたが、強い不安を覚える」。今度の診察時に詳しく事情を聴きたいという。

 県東の男性患者宅には病院職員2人が訪れた。家族によると、2人は封筒から流出を報じる朝日新聞の記事のコピーと、無記入のレセプト用紙を出して事態を説明し、菓子折りを差し出して「申し訳ありません」と頭を下げたという。

 男性の娘は「再発防止の対処をとってくれると信じている」と話すが、「怒っても、長年通院してきた病院は変えにくい実情もある」とこぼす。

 「電話はたった20秒で切れました」。父親の情報が流出した県央の女性(50)は、憤って言った。留守番をしていた長男から病院職員が謝罪に来たと知らされた。病院に電話すると、医事課の女性が「申し訳ありません」と一言。どうすればいいのかと問うと、「特にしていただくことはありません。本当に申し訳ありませんでした」と繰り返し、電話は切れたという。

 「今後の説明はなにもなかった。『二度と起こさないようにします』でも『管理を徹底します』でもない」。そもそも、中間レセプトに何がどこまで書いてあったかの説明がなかった。「最近は悪用されることもあると聞くので不安です」

 ただ、その気持ちは病院に直接ぶつけられない。「診てもらっている身。弱者ですから」。女性はそうつぶやいた。

  

(4/21)

http://mytown.asahi.com/tochigi/news01.asp?kiji=4063