2004年04月17日(土) 07時03分
知人装い転入届 仙台市、虚偽の申請で男を告発(河北新報)
知人に成り済まして入手したキャッシングカードで現金をだまし取ったとして、詐欺容疑などで逮捕された仙台市青葉区荒巻神明町、アルバイト運転手渋谷大地容疑者(23)が、青葉区役所に知人の転入届などを提出していたことが分かり、仙台市は16日、電磁的公正証書原本不実記載の疑いで、仙台中央署に告発した。中央署は渋谷容疑者を再逮捕する方針。
仙台市などによると、渋谷容疑者は3月3日、名取市のアルバイト男性(23)を装い、区役所に転入届と印鑑登録申請を提出。2日後、住民票の写し2通と印鑑登録証明書2通の交付を受けた。
男性の家族が今月1日、名取市役所で健康保険の手続きをした際、転出に気付いて区役所に連絡。渋谷容疑者が名取市に虚偽の転出届を出していたことも判明した。名取市も近く、仙台市と同じ容疑で告発する。
渋谷容疑者は住民票写しなどの交付を受けた3月5日、青葉区内の消費者金融会社で、男性に成り済ましてキャッシングカードを入手。同8日に同社の現金自動支払機からカードで現金を引き出した疑いで、今月8日に逮捕された。
◎戸籍偽造事件の教訓生かせず/住民異動届対応遅れた仙台市
虚偽の転入届などが提出されたとして、仙台市が16日に告発した事件は、市が2001年に起きた戸籍偽造事件後も転入・転出届の本人確認を徹底していなかったことが温床となった。戸籍が偽造された教訓から、市は戸籍に関する届け出に申請者に身分証明書の提示を求める対策を取ったが、住民異動届への対応は遅れていた。
戸籍偽造事件は01年8月、仙台市などに本人の知らないうちに虚偽の養子縁組や婚姻、住所変更の届け出が出され、盗難車の「名義人」にされるなどの被害が次々に明らかになった。
仙台市は事件後、全国に先駆け、婚姻届や離婚届など戸籍関連の4種類の申請者に運転免許証などの提示を求める「仙台方式」を導入。総務省も03年度、全国で仙台方式を採用するよう通知、多くの市町村は住民異動届も本人確認を始めた。
だが、仙台市はこれまで「住民異動届は3月と4月に集中する。本人確認は窓口の混雑緩和措置を講じた後に実施する」(区政課)と先送りしていた。
今回の事件を受け、仙台市は5月24日から住民異動届についても運転免許証やパスポートなどの提示を求め、証明書がない場合は家族状況の聞き取りなどで本人確認を行う。
(河北新報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040417-00000012-khk-toh