2004年04月17日(土) 06時54分

＜牛肉偽装＞国の焼却停止通知無視　厳格検査免れる（毎日新聞）

　ＢＳＥ（牛海綿状脳症）対策の国産牛肉買い上げ事業を巡る大阪府食肉事業協同組合連合会（府肉連）の詐欺事件で、府肉連などから同府柏原市のごみ焼却場「柏羽藤クリーンセンター」に持ち込まれた牛肉の焼却が、０２年２月の国が通知した焼却の一時停止期間中も続けられていたことが分かった。直前には突然、大量の肉が持ち込まれていた。この停止措置は、雪印食品による偽装牛肉事件を受けて、検査を徹底するものだったが、府肉連などの肉は厳格化された検査を免れ、大半が燃やされる結果となった。

　牛肉の焼却は、農水省の買い取り事業で集まった牛肉を処分するため、各地で行われた。府肉連経由で買い取り申請された牛肉の約半分は「柏羽藤クリーンセンター」で焼かれた。

　同センターでは、０２年１月中旬から府肉連などが持ち込んだ肉を焼却していたが、同２３日に雪印食品事件が発覚。農水省は同３１日、箱の中身を再チェックする目的で各都道府県に焼却の一時停止を通知、大阪府は２月１日に同組合に伝えた。

　ところが関係者によると、センターには１月３１日、突然、大量の肉が搬入された。それまで１日２０〜４０トンだったが、１月３１日は１１８トンが持ち込まれた。一方、同センターは、一時停止の通知を知った２月１日以降も１日３０トン前後を燃やし続けたという。一時停止は同月１９日までで、２０日に解除された。

　肉の搬入は、府肉連に強い影響力を持つ大手食肉販売会社「ハンナン」（大阪市中央区）に関係が深いとされる運送会社が担当。同社は、大量搬入に疑問を感じたセンター員に対し「２月初めは搬入を休みたいから」と説明したという。柏羽藤環境事業組合は「国の通知は『搬入を止める』という趣旨だと理解し、既に搬入された肉の焼却を止めるべきだと思わなかった」と話している。

　国のＢＳＥ対策の国産牛肉買い上げ事業をめぐる詐欺事件で、大阪府警捜査２課は１６日、府肉連元会長の寺島一（６４）、熊本市の肉製品製造業、瀬戸勇二（５２）の両容疑者ら６人を詐欺容疑で逮捕した。「ハンナン」元会長の浅田満・府肉連副会長（６５）についても既に逮捕状を取っている。また、同課は府肉連の事務所がある大阪食品流通センター（同府堺市）や大阪府羽曳野市の浅田副会長宅を家宅捜索した。瀬戸容疑者は、偽装牛肉を買い取らせる際に輸入牛肉を持ち込んだ疑いが持たれている。（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040417-00000179-mai-soci