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2004年04月15日(木) 18時51分

エフエスかほく・カモ肉偽装疑惑 揺らぐ「食材王国」、次々偽装疑惑 /宮城毎日新聞

 ◇「消費者軽視のツケ」−−カキ、ワカメ…次々偽装疑惑
 河北町の特産品として人気を集めつつあった「フランス鴨(かも)」の偽装出荷疑惑に捜査のメスが入った。カキ、ワカメ、鶏肉……。県内では02年以降、消費者の信頼を落とす食の問題が次々と噴き出している。県が標ぼうする「食材王国」が揺らいでいる。【赤間清広、棚部秀行】
 ◇フランス鴨に捜査のメス
 県内では02年、大手商社・丸紅の子会社「丸紅畜産」仙台営業所(利府町)によるブラジル産鶏肉の偽装販売疑惑が表面化。広島と並ぶ産地として名をはせる養殖カキでも、加工業者の多くが韓国産カキを県産と偽って出荷していたことが分かり、水産界に激震が走った。石巻市では今年、海産物卸会社によるワカメの偽装疑惑が浮上している。
 失った信頼の代償は大きい。県産カキの大部分の出荷に携わる県漁連は問題発覚後、消費者に安全性をアピールするため、養殖カキの生産・流通履歴を追跡できる「トレーサビリティーシステム」を導入した。これにより出荷の落ち込みを防ぐことができたが、流通の手間は大幅に増えたという。
 「エフエスかほく」の家宅捜索を受け、県食と暮らしの安全推進課は「食の信頼が揺らぐ問題が続き非常に残念。生産者、消費者と一体となって信頼回復に努めるしかない」とコメントした。県はカキ偽装を教訓に02年10月、庁内に「食の安全安心対策本部」を設置。今年4月には「食の安全安心推進条例」を制定し、食品の偽装防止を目指しているが、有効な一手を打ちあぐねている。
 同社とともにフランス鴨のPRに力を入れてきた河北町も「町を代表する物産になると期待していたのに」と頭を抱える。
 「量販店や流通業者ばかりに目を向け、消費者を軽視したツケが偽装につながった」。県漁連は過去の反省を踏まえ「消費者の信頼を回復するには地道な努力を積み重ねていくしかない」とアドバイスしている。
 ◇動揺大きい従業員−−エフエスかほく
 県警生活環境課と河北署によるカモ肉生産加工販売会社「エフエスかほく」(河北町、佐藤文夫社長)への家宅捜索は、14日午前7時半から始まった。捜査員が、不正競争防止法違反の疑いで同町針岡浦の処理加工施設兼事務所に入ると、中から鍵がかけられ、出勤した従業員は戸惑いを見せていた。
 同社では、この日も通常通り加工処理作業が行われた。しかし、偽装表示の疑惑発覚後、佐藤社長が「外国産肉の混入や偽装表示は一切ない」と全面否定していただけに、従業員の動揺は大きく、詰めかけた報道陣に作業中の男性が「おれの顔をうつすな」と声を荒げる場面もあった。
 捜索は約8時間にわたって行われた。佐藤社長の妻(同社専務)が立ち合い、社長は不在だった。捜査員によると、事務所からは仕入れ伝票や出荷伝票など関係書類のほか、鴨肉のパッケージやパソコンも押収したという。
 ◇町は責任否定
 一方、同社への家宅捜索を受け、河北町の太田実町長が急きょ町役場で記者会見した。町長は「県と町が調査している段階で、県警が捜査に入ったので驚いている」と語ったうえで、「(エフエスかほくへの)行政指導が甘かったと言われるが、法人化された時点で町の支援は済んでいる」と町の責任を否定した。さらに「町を代表する物産で大変残念だ。一日も早く立ち直ってほしい」と語った。【石川忠雄】
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 ■ことば
 ◇フランス鴨
 フランス料理などの高級食材として使われる。ロースが1キロ2500円、モモが同1500円前後で、一般の鶏肉より高値で取引される。「エフエスかほく」は河北、蔵王両町の計4カ所で飼育している。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040415-00000001-mai-l04