2004年04月07日(水) 03時04分
<回転ドア事故>恵比寿ガーデンプレイス事故の対策導入せず(毎日新聞)
東京都港区の六本木ヒルズ森タワーの自動回転ドア事故で、ドアの販売会社「三和タジマ」が01年、渋谷区の複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」で子供がドアに挟まれる事故が相次いだ際、事故防止用の赤外線センサーを増設したり、さくを設置するなど本格的な対策を取っていたことが警視庁捜査1課の調べで分かった。対策後、事故は起きていない。森タワーでも昨年12月、同社と森ビルがガーデンプレイスをモデルに安全対策を検討したが、ポールを置くなど応急対策にとどまった。同課は、両社が有効な事故防止対策を知りながら応急対策にとどまった経緯について、関係者から事情を聴いている。
調べなどによると、三和タジマは01年3月、恵比寿ガーデンプレイス内のデパート「恵比寿三越」に自動回転ドアを設置した。しかし、翌4月までに子供が挟まれる事故が3件発生したため、同社はデパート側と安全対策を協議し、ドアの端を軟らかい材質に換え、ドア前にロープを張ったポールを立てた。
しかし、同年7月に再び同様の事故が起こったため、警備員を配置したうえ、翌8月にはドア枠から30センチの位置に設置した赤外線センサーを60センチの位置にも増設した。さらにドア前に高さ約1・3メートル、幅約1メートルのステンレス製のさくを置き、ドアとさくの間にスポンジ製の緩衝材も設置した。その後、事故は起きなくなったという。
森タワーでは昨年12月7日、女児(6)が挟まれけがをする事故があり、森ビルと三和タジマが同9日、事故防止対策を協議した。しかし、ドア前にポールを設置し、シールを張って注意を呼びかけるなどの応急対策だけで、ガーデンプレイスのような抜本的な対策は取らなかった。
大阪府吹田市の溝川涼君(6)は、ポールとドアの間をすり抜け、センサーに感知されないまま、閉まりかかったドアに飛び込んで死亡した。
昨年12月の協議について、三和タジマの親会社「三和シヤッター」側は「恵比寿三越のドアに施した対策の図面を森ビルに示して話し合ったが、森ビルからは『そのようにしてほしい』という依頼はなかった」と話している。一方、森ビル広報室は「捜査中なので協議内容はコメントできない」と説明している。【川辺康広、宮川裕章、鈴木泰広】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040407-00000146-mai-soci