2004年04月06日(火) 16時17分
三菱「ハブ」、国交省立ち入り時に虚偽説明(読売新聞)
三菱ふそうトラック・バス(昨年1月に三菱自動車から分社)製大型車の車軸周辺部品「ハブ」の欠陥問題で、同社が2002年6月に国土交通省の立ち入り検査を受けた際、ハブの強度検査の一部のデータについて、「最終結果が出ておらず、結論がまとまっていない」などと虚偽の説明を行い、データ全体を解析した資料の提出をしていなかったことが6日わかった。
同社はユーザーから回収したハブのうち、破断の兆候を示す「亀裂」が約3割に出ていることを、その3か月前に確認しており、国交省は「悪質な隠ぺいがあった」として道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑での告発に向けて捜査当局と協議を進めている。
国交省の立ち入り検査は2002年6月27、28の両日、抜き打ちで行われた。当時の三菱自動車本社や全国の工場が対象で、同年1月に起きた横浜市の母子死傷事故後では、初めての立ち入り検査だった。
問題のデータが見つかったのは、トラックなどの生産拠点となる川崎工場(川崎市中原区)。係官らが品質管理部局に立ち入り、技術者のパソコンを閲覧したところ、ユーザーから回収したハブの内部に、「ヘアクラック」と呼ばれる微小な亀裂の有無を検査で確認したことを記す一覧表があったという。
検査はハブに磁気を当てて表面や内部の亀裂を調べる精密なものだったが、係官が尋ねたところ、同社側は「破断の兆候を未然に知るための検査方法として有効かを調べている」と説明。一覧表は半分以上が空白で、「全データはないのか」との質問には「検査の途中で集計がまとまっていない」としていた。
しかし、同社はこの約3か月前の同年3月中旬には、すべての検査結果の解析を終えていた。同社が横浜市の事故の直後から自主回収したハブのうち、無作為抽出した477台分をサンプル検査したもので、その時点で、29%にあたる139台分に微小な亀裂があることを統計的にまとめていた。
同社は当時、ハブ表面に付いた摩耗などを根拠に「ユーザー側の整備不良」との説明を繰り返していたが、先月24日のリコール(回収、無償修理)届け出の際には、強度不足を裏付ける資料として全データを提出していた。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040406-00000105-yom-soci