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2004年04月05日(月) 03時02分

痴呆高齢者のグループホームが急増 11県市総量規制朝日新聞

 痴呆(ちほう)の高齢者が共同生活するグループホームが、介護保険が導入された00年4月直前に比べて18倍の4774カ所に増えていることが朝日新聞の都道府県・政令指定都市調査でわかった。65歳以上の介護保険料を押し上げ、介護の質が低下するおそれがあるとの理由で、11自治体が実質的な総量規制に乗りだし、6自治体が規制を検討している。家族の期待も高いサービスだが、想定を超える急増で規制に動かざるを得ないのが現状だ。

 朝日新聞が、グループホームを運営する事業者を指定する47都道府県と、13指定市を対象に3月時点の状況を調べた。

 00年3月に266だった事業所数(国庫補助対象数)は、今年3月で4774に。この1年間で約1900カ所が新設され、1日5カ所のペースで増えている。8割の自治体で、介護保険開始時に見込んだ05年3月末の入所者数を超えていた。

 調査によると、00年3月でゼロだった三重県は79カ所(945人分)に、静岡県は66倍の198カ所(1737人分)に増加。青森県は04年度末までの計画で定員を300人と見込んでいたが、2643人分に膨れ上がっている。

 グループホームは「地域で職員の介護を受けながら暮らす」在宅サービスと位置づけられているため、事業者に指定される要件は施設に比べて緩い。企業の参入も可能で、急増の一因になっている。

 調査では、青森、栃木、群馬、兵庫、山口、香川、熊本、沖縄の8県と福岡市など3指定市が、整備抑制や地域的な偏りを調整する規制を実施している、と回答した。

 栃木県では独自の要綱を策定。市町村が公募し、審査委員会が選んだ事業者だけを県が指定する方式をとっている。青森県や山口県では、市町村の介護保険計画の整備数を超えている場合、指定を申請した事業者に自粛を求める。在宅サービスであるため、自治体に設置数を規制する明確な法的規定はない。

 三重、長崎、京都府など4府県2市は規制を検討中と回答。実施・検討中と回答した以外の自治体でも、7割が将来は抑制策が必要と答えた。

 規制の理由では、財政面や介護の質の問題を挙げる自治体が多い。青森県は「保険料への影響が深刻」とし、京都府は理由の一つに「利益追求を動機とする事業者が参入して劣悪な介護が行われる危険性がある」としている。

〈痴呆高齢者のグループホーム〉

 住み慣れた地域で、5〜9人が家庭的な雰囲気で暮らすことで痴呆の症状を和らげる効果があるとして、「痴呆ケアの切り札」と期待されている。運営主体で最多が企業などの営利法人で45%。運営費の9割は介護保険から支払われ、利用者の負担は介護保険の1割負担や家賃、光熱費、食事代など月10万円から20万円程度。介護保険の費用は税金と保険料で半分ずつ賄われ、65歳以上の介護保険料の分は平均18%。費用が膨らんだ場合は、3年ごとに改定される介護保険料も上がる。

(04/05 03:01)

http://www.asahi.com/national/update/0405/004.html