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三菱自動車製大型トレーラーの車輪脱落による母子死傷事故の直後、同社内に設置された調査班トップの副社長(当時)が、事故から4カ月後の02年5月、脱落原因を「整備不良」だとしてきた同社の判断に疑問を示すメモをまとめていたことがわかった。また、調査班に対して当時、問題とされたハブに「亀裂を生じさせる力がかかる」とする実験結果が報告されていたことも新たにわかった。調査班は最終的に製造欠陥を認めておらず、国土交通省はメモや実験結果の取り扱いについて関係者から話を聞いている。
関係者によると、三菱自動車が設置した社内調査班「フロントハブ強度検証ワーキンググループ」は、当時の副社長兼開発本部長をトップに、死傷事故後の02年2月から7月までに計10回の検討会を開いた。
目的は、車輪脱落の原因となった金属部品「ハブ」の破損は整備不良による摩耗が原因で、リコール(無償回収・修理)には該当しないことを科学的に実証することで、ハブを車体に組み込んで耐久性を調べる実車実験やコンピューター解析、市場調査などを実施した。
国交省に提出された議事録などによると、調査班には3月、摩耗の有無にかかわらずハブの3割で亀裂が見つかった、とするサンプル調査の結果が報告された。
副社長は5月、この結果をもとに「摩耗がなくても亀裂の発生率が変わらないのはなぜか」と、摩耗が亀裂につながるとする同社の見解に疑問を投げかける考えを数枚のメモにまとめ、社内の関係者に示した。
さらに7月、調査班には、死傷事故を起こした大型車が使用していたのと同じ「D型」ハブの実車実験でわかった、「構造上、亀裂を生じる力がかかる」との結果も報告されていた。
しかし、調査班はこの約1週間後、「摩耗がハブの破損につながる」とした同社の従来の見解を再確認する形で、「リコールには当たらない」との結論を取りまとめ、国交省に報告した。
メモや実車実験の結果は、同社の商用車部門を引き継いだ三菱ふそうトラック・バスが3月にリコールを申し出るのにあたって国交省に提出した。同社のビルフリート・ポート社長は同24日の記者会見で、メモや実験結果を含む「九つの社内文書の内容をもとにリコールを決断した」と説明している。
国交省は、メモや実車実験の結果の取り扱いが、当時、リコール回避の判断にどうつながったかなどについて、関係者に詳しい説明を求めている。
〈三菱ふそうトラック・バスコミュニケーションチームの話〉 現時点ではコメントできない。
(04/05 08:19)