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不祥事は京都府警と北海道警で起きた。それぞれ捜査報告書、指名手配書、交通事故発生報告書など、十一人と八人分がネット上に流出した。
民間企業で顧客名簿などが流出する事件が頻発しているが、警察の捜査資料がネットに流出したのは、おそらく初めて。民間でも困るが、個人のプライバシーに深くかかわる捜査資料では、決して起きてはならないことだ。
いずれも、ネット上で音楽や映像、ゲームソフトなどを交換するファイル交換ソフトWinny(ウィニー)を私的に使用して、誤って捜査資料を流してしまったようだ。同ソフトに感染するパソコンウイルスによって、知らぬ間に送り出されてしまった可能性も指摘されている。
こうした事故を防ぐため警察庁では、以前から私物のパソコンをやむを得ず捜査に使用する場合は▽上司の許可を得る▽カギの掛かる場所に保管する▽不用意な流出を防ぐため機密情報をハードディスク(固定記憶装置)などパソコンの内部に記憶させない−などの通達を出していた。
今回、上司の許可を得ていたケースもあるようだが、府警、道警の場合とも「内部に記憶させない」の点で通達に違反していた。
ファイル交換ソフトは個人同士が映画や音楽、ゲームソフトなどをネット上で交換するためのもので、昨年の国内推計では約百八十五万人が利用している。
ソフトの使用自体は必ずしも違法ではないが、封切り直後の映画など膨大な違法コピーがこのソフトを利用してやりとりされる実態があるため、日本レコード協会など著作権団体は違法な利用方法について、取り締まりや利用自粛を求めている。
ウィニーは、交換ソフトの最新版の一つ。構造的に利用者の特定が難しいのが特徴だが、昨年秋、京都府警が全国に先駆けて群馬県などの違法利用者の摘発に成功した。その内部から同ソフト利用による不祥事を出したのは、お粗末としかいいようがない。
事件は通達を守っていれば防ぐことができた。さらにいえば、警察官として違法性のちらつくソフトを使用しない慎重さもほしかった。ただ、警察全体として予算上、公用パソコンの配備数が十分でない現状もある。組織としての対策も必要だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040403/col_____sha_____003.shtml