2004年04月02日(金) 18時07分
破断ハブ、運送業者の返却要求拒否…三菱側証拠隠しか(読売新聞)
三菱ふそうトラック・バス(昨年1月、三菱自動車から分社)が車軸周辺部品「ハブ」の摩耗データを偽って国土交通省に報告した疑惑が浮上した問題で、事故車を保有していた富山県の運送会社が、「ハブに欠陥の疑いがある」として、国土交通省に検査を依頼するため、破断したハブの返却を再三にわたって三菱側に求めたにもかかわらず、三菱側が拒否していたことが2日、分かった。
捜査当局は、この経緯についてすでに運送会社と三菱側双方の関係者に事情聴取、整備記録などの提出も受けており、三菱側が欠陥部品の証拠を隠そうとした可能性もあるとみて捜査を進めている。
富山県の運送会社は運送車両約80台を持つ地元大手。1999年11月、石川県内の国道を走っていた同社の大型トレーラーの前輪ハブが破断、タイヤが脱落した事故が起きた際、同社の整備士が「ハブに構造的欠陥があるのではないか」と疑い、地元の三菱自動車系列販売会社に破断したハブの調査を求めた。整備士は事故の2年前に運送会社に転職するまで、この販売会社の工場に8年間勤め、三菱自車両の構造を熟知していた。
ハブを三菱自本社に送って検査してもらった販売会社は、事故の約3か月後、「整備不良が原因」と調査結果を伝えてきた。しかし、整備士は「車両は適切に点検しており、ハブの摩耗も少なく、整備に問題はなかった」と反論。問題のハブを国交省(当時の運輸省)に送って再検査してもらうため、返却するよう求めた。
これに対して販売会社は「本社の検査でハブは穴を開けたり、切ったりしており、返却はできない」と拒否。整備士が再三にわたって返却を要求したところ、約1か月後、幹部が運送会社を訪れ、「これで勘弁してくれ」と新品のハブを置いていったという。
整備士は捜査当局の聴取に、「ハブの欠陥を整備不良のせいにされた。ハブを返却しないのは証拠を隠すためではなかったか」と供述。当時の整備記録などの書類を提出した。
販売会社は読売新聞社の取材に対し、「検査でバラバラになったハブをユーザーに返すのは失礼にあたると思った。三菱本社から指示を受けたことはない」と話し、三菱ふそう本社は「この件は現在、調査中」としている。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040402-00000106-yom-soci