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事故から五日目の三十日午後。六本木ヒルズでは大小合わせて計四十八基ある回転扉のほとんどが停止されたまま。
だが、大型回転扉の場合、中央部分が両開きの自動ドアになっており、停止時はこれを開閉して通行することが可能で、小型扉も脇にある自動ドアなどを使って、多くの家族連れやカップル、主婦らが出入りしていた。
現在も稼動している回転扉は、他に出入り口がない二基があるだけ。ビル管理会社の森ビルでは、「安全が確認されるまでは(回転扉は)使用しない」と説明している。
今回の死亡事故が起きたのは二階の「正面」入り口。森ビルなどによると、七基ある二階の大型自動回転扉のうち事故が起きていないのは、ビル内にあるオフィス専用の北東の扉だけ。それ以外は断続的に事故が発生。昨年十二月二十一日には三階にある別の大型自動回転扉一基で、女児が足を挟まれた。
全体の三十二件中、最も多い五件の事故が起きたのも、やはり森タワー二階にあるコーヒー店隣(正面右端)の回転扉。店舗が並ぶウェストウォークの入り口に近い。営団地下鉄六本木駅から出てきた利用客らが押し掛けることもあるという。
次いで事故が多かったのは、五十二階展望台(東京シティビュー)にある小型回転扉での三件。ガラス越しではなく、風を感じながら展望が楽しめるテラスが人気。ここに出るには四基の回転扉のいずれかを通るが、死亡事故後はテラスへの出入りはできない状態になっている。
三十二件のうち十件は、被害者が救急車で病院に搬送されたが、相次ぐ事故の教訓が生かされることはなかった。
溝川涼君が亡くなった「正面」の回転扉は完全に封鎖され、献花台にはさまざまな花やお菓子、ぬいぐるみなどが並んでいた。静かに手を合わせる人の姿もみられた。
この日、森タワーを通り掛かった男子学生(21)は「こういうところでは自分だってはしゃぎたくなる。子どもがはしゃぐことも考えて、事前の対策を講じる必要があったのではないか」とタワーを見上げて、語った。
文・吉枝道生、田中秀樹
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