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2004年03月30日(火) 03時05分

<回転ドア事故>利便さの裏側に、弱者への危険 毎日新聞調査毎日新聞

 回転ドアの事故は、東京都港区の「六本木ヒルズ森タワー」のほかに全国で少なくとも3件の骨折事故が起きていたことが毎日新聞の全国調査で分かった。巻き込まれたのは、回転のスピードについていけないお年寄りや障害者、子どもたちだった。外気や風の影響を受けにくい便利さの裏側に危険が潜んでいたが、メーカーや管理者の対応も後手に回っていた。

 昨年3月25日夕、横浜市西区のランドマークタワーの回転ドアに、雨を避けるため7歳の男児が飛び込んだ。ドアに入った途端、雨でぬれた床で転び、進んでくるドアと床のすき間に右足がはさまった。太もも骨折の大けがだった。

 同タワーに回転ドアが設置されたのは93年7月。子どもがはさまれる事故は、この男児の事故以前にも7件起きていた。この間、センサーの感度を上げたり、非常停止ボタンを装備したが、骨折事故を防げなかった。

 80歳の女性が骨折した99年大阪市のワールドトレードセンターと、高齢女性が昨年2月に岡山市の岡山協立病院で骨折した事故は、いずれもドアのスピードに追いつけなかったのが原因だった。岡山で事故に遭った女性は視覚に少し障害があったという。2人とも、後ろのドアに押されるなどして転倒している。

 この事故を受けて、メーカーは回転速度を遅くし、ドアと体が接触しそうになった場合にセンサーで回転を止めるようにした。だが、今度は止まった拍子に前のドアにぶつかるケースが起きているという。このメーカーの営業担当者は「どう対応しても問題が起きてしまう。どうすればいいのか。難しい商品かと言われれば、その通りとしか言いようがない」と頭を抱える。

 今年2月、東京都港区の汐留メディアタワーで、会社員の男性(36)は2歳の長男を乗せていたベビーカーごと回転ドアにはさまれた。ドアに入った瞬間に動き出し、ドアの速さに驚いた。幸いけがはなかったが、恐ろしさを忘れられない。「危険だともっとアピールしておけば今回の事件がなかったのではと残念だ」と話している。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040330-00000134-mai-soci