2004年03月30日(火) 03時05分
<回転ドア事故>全国で52件36人けが 毎日新聞調査(毎日新聞)
東京都港区の「六本木ヒルズ森タワー」で大阪府吹田市の溝川涼君(6)が自動回転ドアに挟まれ死亡した事故を受けて、毎日新聞は29日、回転ドアの事故やドアの設置状況について緊急の全国調査をした。六本木ヒルズを除いて判明した事故は、少なくとも過去52件、けが人は36人に上った。高齢者や子供が骨折した事故も3件あった。こうした事故を把握したり、報告を受けたと答えたメーカーは2社にとどまり、メーカー側の安全意識の低さが浮き彫りになった。
回転ドアのメーカーには業界団体がなく、安全管理状況を把握する所管官庁もない。このため毎日新聞は全国の支局を通じて県庁所在地など中心に警察、消防、ビル関係の団体などから聞き取り調査をした。
その結果、毎日新聞が把握した回転ドアの設置数は約230台。36人のけが人のうち、65歳以上の高齢者は4人で、12歳以下の子供は23人に上った。横浜市の観光名所・ランドマークタワーでは昨年3月に男児(7)がドアに駆け込み、ドアの外に出た足を挟んで骨折した。
高齢者の事故では、岡山市内の病院で昨年2月、女性(65歳以上)が回転ドアに入ろうとして転倒し足を挟まれて骨折、大阪市内のオフィスビルで99年6月に80歳の女性が背後のドアに押されて転倒し腰を骨折した。
さらに六本木ヒルズのドアのメーカーの「三和タジマ」など主な6社に設置台数を尋ねたところ、「ブーンイダム ジャパン」の240台を筆頭に全国で計約650台だった。毎日新聞の調査の約3倍に上り、実際の事故やけが人は、さらに増えるとみられる。
事故が全国で相次いでいるにもかかわらず「事故があったのは承知しているが、数字が独り歩きすると困るので、件数は言えない」「販売サイドは分かっているかもしれないが、報告は上がってきていない」などと答えたのが4社あった。
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6社は次の通り。ブーンイダム ジャパン(東京都中央区)▽三和タジマ(豊島区)▽ナブコ(神戸市)▽YKK AP(東京都千代田区)▽寺岡オートドア(大田区)▽扶桑電機工業(品川区)(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040330-00000132-mai-soci