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2004年03月27日(土) 16時51分

<三菱自動車>量産途中にハブの材質の設計変更毎日新聞

 三菱自動車(昨年1月、三菱ふそうトラック・バスに分社化)が製造した大型車の部品「ハブ」が破損しタイヤ脱落事故が多発した問題で、同社は02年1月の横浜の母子死傷事故を起こした「D型」のハブについて、量産途中の94年、材質を強化する設計変更を行っていたことが分かった。社内では「◆(ディーダッシュ)型」と呼んでいたが、強度不足など何らかの設計上の問題があったためとみられる。しかしリコール(回収、無償修理)などの措置を取ることはなく、変更前のD型は横浜の事故など重大事故を続発させる結果となった。国土交通省や捜査当局は、材質変更の経緯に注目している。

 同社の社内資料や国交省によると、同種のハブは83年7月に新規に設計・製造されて以降、A〜F型の6種あり、D型は93年3月から量産を始めた。

 同社はハブの設計変更の際、車軸部にかかる重量を示す「対応軸重」を性能指標とし、A型(製造83〜88年)=5.4トン、B型(同88〜89年)=5.7トン、C型(同89〜93年)=6.0トンと強度をアップさせていた。しかし、C→Dの際はボルト取り付け部などの形状を変更し、同軸重は変えていなかった。

 しかし、量産開始1年半後の94年10月、同じ形状で鋳鉄の強度を20%、同軸重も6.5トンに、それぞれ向上させる材質変更をし、「◆型」として量産を続行した。翌95年に同軸重6.5トンのE型に設計変更していた。

 道路運送車両法などは、大型車種で積載総重量などを変更する場合、国交省(当時は運輸省)に届けることを義務付けているが、ハブなどの設計変更では必要ないという。このため同社は◆型への変更は届けていなかったとみられる。

 一方、ハブ破損によるタイヤ脱落事故は92、94年に1件ずつA型などで発生して以降、96〜00年に年3〜7件と増加。01、02年には12、13件が続発。重大事故も、96年9月に静岡県でタイヤが破裂し飛散片で運転手が負傷、99年6月に高速走行中のJRバスでタイヤが脱落、さらに02年1月の横浜の死傷事故と続いた。これら3件はいずれもD型だった。03年5月までの脱落事故57件中、D型は31件(◆型は7件)と集中していた。しかし、同社は横浜の事故後、「ハブ破損はユーザーの整備不良が原因」として自主点検・交換を始めたが、それまでは対外措置は一切取っていなかった。【武田良敬】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040327-00001051-mai-soci