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政府は25日、個人情報保護法に沿って国や地方自治体、民間事業者がとるべき措置を示す「個人情報の保護に関する基本方針案」をまとめた。小泉首相の諮問機関である国民生活審議会(会長・落合誠一東大教授)も、この方針案を了承すると首相に答申した。顧客情報などの流出事件が相次ぐ中、民間事業者に対し、「個人情報保護管理者」の設置など情報管理のための体制整備を求めている。基本方針は4月2日に閣議決定される見通しだ。
個人情報保護法は「各分野に共通する必要最小限のルール」を定めるにとどめており、政府は05年4月の同法全面施行に向けて法を補完する仕組みの整備を進めている。基本方針はその基礎になる。これに基づき、各省庁は民間事業者の事業分野ごとの指針策定などが求められる。
方針案では、過去6カ月以内に5千人以上の個人情報を持っていた民間の「個人情報取り扱い事業者」に対し、個人情報保護管理者を置いて責任を明確化することや、外部からの不正アクセスの防御対策、社内の関係者による持ち出し防止策を講じることを求めた。例えば、01年に顧客情報が流出した小田急百貨店はその後、データベースの出力記録を確認できるようシステムを改善し、情報システム部門への入室に指紋照合を導入するなどしており、こうした対策の実施を念頭に置いたものだ。
また、(1)個人情報保護に関する考え方や方針をあらかじめまとめて公表する(2)入力作業など個人情報の取り扱いを外部に委託する場合は、委託元と委託先の責任を委託契約の中で明示する(3)個人情報の漏洩(ろうえい)が起きた場合は可能な限り事実関係を公表する——ことなども促している。
地方自治体に対しては、個人情報保護条例を未制定の場合は制定を、制定済みの場合は個人情報保護法に沿う形での見直しを要請。制定や見直しにあたっては、自治体が持つ情報について▽本人からの情報の開示や訂正、利用停止の請求に応じるための仕組みの充実▽苦情処理や不服申立制度などの救済措置の整備▽個人情報漏洩への罰則の検討——などに留意することを求めている。
国に対しては、事業分野ごとの指針の策定に加え、特に情報を慎重に取り扱う必要がある医療、金融・信用、情報通信などの分野では、個人情報保護法の全面施行までに「格別の措置」を検討するとした。個別法制定を念頭にした表現と政府は説明している。
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〈個人情報保護法〉 官民を通じた個人情報保護の基本理念など基本法的な部分と、民間の個人情報取り扱い事業者の義務などを定めた部分からなる。民間事業者には利用目的の特定や本人への利用目的の通知などを義務づけ、主務大臣による勧告・命令権限を規定した。昨年5月、行政機関個人情報保護法などとともに成立。基本法的な部分は同時に施行され、民間事業者の義務規定は05年4月から施行される。(03/25 19:53)