2004年03月26日(金) 22時32分
発覚から1カ月、住民の不安消えず 丹波・鳥インフルエンザ(京都新聞)
防疫が完了した浅田農産船井農場。立ち入り禁止用のさくが作られた(26日、京都府丹波町)
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京都府丹波町の浅田農産船井農場で鳥インフルエンザ感染が発覚してから、27日で1カ月がたつ。防疫作業が完了し、地元は静けさを取り戻しつつあるが、住民の不安は消えない。農場の従業員たちは衝撃的な体験にショックを受け、解雇された。出荷がストップしたままの養鶏業者は、苦悩の色を深めている。それぞれの「1カ月」を追った。
▽処分地管理など行政の対応注視
船井農場がある安井地区。60戸に満たない小さな集落は突如、鳥インフルエンザ問題の渦中に巻き込まれた。1カ月を経て、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。農場への町道の封鎖は解除され、雪が積もっていた田畑では土を起こす姿も見られる。
「報道陣が大勢来ていたし、(消毒用の)石灰が舞い散って長い間、外に出られず息が詰まった」と主婦(57)は話し、久しぶりの井戸端会議を楽しんでいた。
住民の間に安ど感が漂うが、一方で「これからも大切」と行政の対応を注視する声が聞こえる。50代の農業男性は、処分した鶏などを養鶏場に埋め立てることを知ったとき、あきらめに近い感情を抱いたという。「やっぱりか」。鶏や鶏ふんの処理は、行政と住民が歩み寄る形で決まったが、地区役員の1人は「当初は鶏ふんもいっしょに埋めると思っていたのに」と話す。
集落から、消石灰で真っ白になった鶏舎が見える。マニュアル上の防疫措置は終了したが、最低3年間かかるという処分地の管理や、農場跡に別の養鶏業者が来ない措置に、住民はこだわる。農業の男性(65)は「府や町など公的機関が責任を持って管理してくれれば良い」と強調した。
「死んだ生物のウイルスは死滅すると言うが、長い間埋まっていて良い気はしない」と主婦村山敦子さん(42)はもらす。「行政の対応を信じたい。不安がって生活していては、身が持たないですからね」と話していた。(京都新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040326-00000111-kyt-l26