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■家賃
愛知県内の主婦(62)は「娘の家賃の支払いに消費者金融会社が入るというんです。どうしてでしょうか」と当惑する。
二十代の娘が、四月から入居が始まる名古屋市内のワンルームマンションを借りることになった。
管理会社から「家賃の支払いのため、カードを作ってもらう」と言われ、娘が消費者金融会社が発行するクレジットカードを作ることになったからだ。
カードを作ると、家賃は消費者金融会社が入居者の口座から自動的に引き落とす。入居者はクレジットカード機能で買い物ができるほか、自動貸出機で消費者金融会社からの借金もできる。
この消費者金融会社によると、家賃の回収から滞納処理まで管理会社の業務を代行して手数料を得るサービスを、二〇〇〇年十二月から開始した。
入居者は、いったん消費者金融会社からお金を借りて家賃を払う形になる。消費者金融会社が最高四カ月まで立て替え払いをするため、管理会社にとっては滞納の危険性(リスク)が少なくなる。引き落としができなかった場合は、消費者金融会社が電話や手紙で督促する。
消費者金融会社の広報担当者は「入居者も年会費無料でカードが作れ、キャッシング(自動貸出機からの借り入れ)などさまざまな機能が利用できる」と強調する。
だが、入居者からみれば、カードの「便利さ」とは借金がしやすくなることなので、若い人がカードを持ったら「浪費」のリスクが高まることは確か。カードが若い人の多重債務の入り口になっている現状もある。
■家庭教師
名古屋市内の主婦(45)は昨年の夏、県外の大学に通う息子(19)から「クレジットカードを作っても良いか」と相談を受けた。家庭教師派遣会社に教師として登録する際の身分証明書に、クレジットカード機能がついているという。
「キャッシングを利用するんじゃないか、カードの情報が盗まれることもある…」と、いろいろ心配になった。渋々了解したが「何でカードを作る必要があるの」という疑問は今も晴れない。別の家庭教師派遣会社でも、登録の際にカードを作るよう求められたが「二枚目はさすがに断った」。
この会社によると、過去に家庭教師が派遣先で事故に遭ったことがきっかけとなり、教師に損害保険をかけることになった。そこで、教師にカードを作ってもらい、カード会社から得た会員獲得の手数料を、保険料に充てたのが始まりだという。
強制ではないが、教師の八割以上に作ってもらっている。来年四月からはインターネットを通じた指導や、指導の報告を始めることにしており、ネットを利用するのに必要な本人確認のシステムにクレジットカードを使う予定だという。
広報担当者は「カードとして使わなければ問題はない」と言う。年会費は無料だが、社会人になると年会費が引き落とされるようになる。
■携帯電話
「携帯電話の機種変更をしたら消費者金融会社のローンカードが送られてきた。申込書には細かな個人情報も書いたので不安です」と訴えるのは同市内の別の主婦(35)。
夫が昨年夏、携帯電話の安売り店で「カードを作れば二千円引き」と店員に勧められ、カードの申込書を書いた。すると後日、送られてきたのは消費者金融会社のローンカードだった。
この安売り店を運営する会社によると、値段を安くするため、購入者にカードを作ってもらい、消費者金融会社などから入る新規会員獲得の手数料を得ているという。
広報担当者は「カードは使わなければそれまでのこと。販売員の説明が不足だったかもしれないが」と話す。
こうした提携カードの増加について金融消費者問題研究所代表の楠本くに代さんは「住まいなどライフラインに関係あるものの支払い方法を、強制のような形でカードに指定するのは問題ではないか」とし「カードは作らないことが消費者教育として非常に大事なことの一つ。事故に巻き込まれる可能性も高まり、消費者保護の観点から好ましくない」と指摘している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040325/ftu_____kur_____001.shtml