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大阪市西区の土佐稲荷神社を訪ねたことがある。境内の玉垣に「奉寄進 三菱金曜会」と、三菱グループ社長会の名が刻まれていた。明治初年、創業者の岩崎弥太郎が事業の成功を祈願して以来、グループの守り神になっている◆十年ほど前に社殿を改築した折には主だった経営者が打ちそろって参拝し、話題になった。三菱は日本の企業集団のなかでもとりわけ固い結びつきで知られる◆結束力の奥底にあるものは、安心のブランドとして海外でも定着した「スリーダイヤ」を共有する、その誇りと責任だろう。三菱ふそうトラック・バスの欠陥車問題は、三菱らしからぬ背信の不祥事というほかない◆大型車で多発したタイヤの外れる事故の原因が構造上の欠陥にあったことを認め、きのう、約十一万台のリコール(回収、無償修理)を国土交通省に届け出た◆一九九二年から五十数件の事故が発生し、二年前には死亡事故も起きている。「整備不良に原因がある」と顧客に責任を押しつけてきた会社が、一転して非を認めた経緯は不自然である◆早い段階で欠陥を知りながら、放置した疑いもぬぐえない。お稲荷さんの使いはキツネだが、加護を与えてきたはずの企業が人をだまし、化かすキツネであったならば、守り神が嘆く。不実な対応を重ねた経緯を自ら語らねばなるまい。