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■心証はクロ
「けしからん会社だ。都合の悪い資料を出そうとしない」
三菱ふそうの担当者と実務者レベルで協議を進めた国交省の幹部は今月上旬、部内の対策協議の席上、声を張り上げた。
神奈川県警が業務上過失致死傷容疑で三菱自工などを家宅捜索した昨秋以降、同省は三菱ふそう側と再三にわたって実務者協議を開いた。だが、三菱ふそう側は脱輪の原因をあくまでも「ユーザー側の整備不良」と主張し、それに沿った資料を出し続けた。
同省は、大手四社の過去五年間に発生したタイヤ脱落事故を調査。三菱ふそうは脱落の半分以上が、タイヤと車軸を結ぶ問題の部品「ハブ」の破損が原因だったが、他の三社はゼロで疑惑は膨らんだ。
「限りなく黒(リコール)の心証だったが、相手の理屈を突き崩し、設計や製造上の欠陥を指摘できない限り、白だ。それが技術屋の世界」と、同省担当者は、三菱ふそう側の説明にうなずくしかなかった。
■県警捜索で流れ一変
事態が一変したのは今年一月に行われた県警の二度目の家宅捜索のあとだった。対象は一気に広がり、昨年十月の捜索時に比べ四倍以上の約二百箱分の資料を押収した。その中に同社が、ハブの欠陥を認識していたと疑われる文書があった。
捜査当局と同省は水面下で接触を始めた。リコールを捜査の追い風と位置づけたい捜査当局と、煮え切らない実務者協議に限界を感じていた同省の思惑が一致した。
同省はそれまでの態度を一変し、三月五日、三菱ふそうの社長あてに、一つ一つ具体的な名前を列挙して、計九種類の資料を提出するよう要請した。同八日午前十時までと期限を区切った“最後通告”だ。
指定した資料は、横浜の事故直後に、三菱自工が社内に組織した常務をトップとするワーキングチームの議事録や、昨年三月の三菱ふそうの研修会で、技術者が発表したリポート、各種メモなど。同省幹部は「いずれも三菱側にとっては都合の悪い資料ばかり」と解説する。
■設計の欠陥解明まだ
要求された文書を持参したビルフリート・ポート社長や幹部技術者らは八日、同省自動車交通局のリコール担当官と対峙(たいじ)。三菱ふそう側は従来の説明で押し通そうとしたが、担当官は、提出させた資料をもとに「整備不良では説明できない亀裂で、構造的に弱いのではないか」などと論破し、三時間半に及ぶ激論は同省側の“勝利”に終わった。十日に再び、同省に来たポート社長らはハブの設計上の問題を認め、リコールの方針が決まる。
しかし、リコール対象となった六種のハブのうち、ハブ破断が集中するD型ハブについて、「現在に至ってもなぜ、Dに事故発生率が高いのか分かっていない。設計的な根拠があるとしても理由が分からない」(三菱ふそうの渡辺悠管理本部長)という。
設計上の問題があることを三菱ふそう側が認めたものの、根本的な原因は未解明のままで、リコール担当官たちの戦いが終わったとはいえない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040325/mng_____kakushin000.shtml