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三菱自動車製大型トレーラーの車輪脱落による母子死傷事故から約4カ月後の02年5月ごろ、同社が原因究明のため、副社長をトップに社内に設置した調査班が、タイヤと車軸をつなぐ金属部品「ハブ」の3割で亀裂が見つかったとするサンプル調査の結果を入手していたことがわかった。設計ミスを疑わせる内容だったが、同社は当時、この調査結果を国土交通省に示さず「脱落の原因は整備不良」と報告した。同省は調査結果を意図的に隠したとすれば道路運送車両法違反(虚偽報告)にあたるとみており、関係者から事情を聴く。
関係者によると、02年1月に横浜市で母子死傷事故が起きた直後、三菱側は当時の副社長を責任者とする調査班「強度検証ワーキンググループ」を設置。ハブの設計者ら技術者を集め、耐久試験などの結果をもとに、ハブの強度を検証した。検討会は半年間に10回前後開かれたという。
同社側は同時期、約500台のハブのサンプル調査を実施し、約3割で亀裂が見つかった。ハブを車軸に固定するボルトの締め付けが不十分な整備不良で摩耗したハブも、摩耗がないハブも、亀裂発生の確率は変わらなかったとされる。
調査結果は同5月ごろの検討会に提出され、席上、結果についての説明もあった。この結果についてどのような検討がなされたかは議事録にも残されていないが、検討会は同7月に「整備不良による摩耗が亀裂や損傷につながった」との結論をまとめた。
三菱側は原因究明を求める国交省に対し、検討会の結論やサンプル調査の結果は示さず、「整備不良」との結論だけを報告したとされる。
検討会に参加した当時の幹部は「ハブに亀裂が起きることは整備不良とは関係ないが、破断にまで至るのは整備不良の要因が大きいと判断した」などと説明した。
同社では昨年3月、技術者の一人が社内研修会で「ハブ破損は整備不良による摩耗との関係は少なく、三菱は重要部品の耐久強度評価をおざなりにした」と発言、リポートにまとめていたことが明らかになっている。
三菱側はその後も一貫して「整備不良でハブに摩耗が生じ、破損した。リコール(無償回収・修理)には該当しない」と説明してきたが、今月になって一転して設計上の欠陥を認めてリコールすることを決め、国交省にサンプル調査の結果や検討会の議事録を示した。
同省の担当者は「サンプル調査の結果が当時、示されていれば、その時点でリコールを求めたはずだ」としている。
三菱側は24日午後、大型車約11万3000台のリコールを届け出る。三菱自動車から商用車部門を引き継いで分社化した三菱ふそうトラック・バスのコミュニケーションチームは、サンプル調査などについて「質問があれば、24日の記者会見で説明する。現時点ではコメントできない」と話している。(03/24 03:01)