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東京で00年に開催された「女性国際戦犯法廷」についてNHKが放送したテレビ番組が、主催者側の意図に反する内容に改変されたとして、共催者の市民団体がNHK側を相手に2000万円の慰謝料支払いを求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。小野剛裁判長は「番組内容は、当初の企画と相当乖離(かいり)しており、取材される側の信頼を侵害した」と述べて、実際に取材にあたったNHKの孫請け制作会社に100万円の支払いを命じた。
訴えていたのは「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(バウネットジャパン)。支払いを命じられたのは「ドキュメンタリー・ジャパン」(DJ、東京都港区)。
判決は、「放送事業者には、取材素材を自由に編集して番組制作することが保障される」などと述べ、NHKに賠償責任はないと判断、NHKへの請求は棄却した。
一方で、取材される側が報道内容に抱いた「期待・信頼」は法的保護の対象になるとして、その「期待権」を侵害した場合には取材者に賠償の責任が生じると判断。報道する側とされる側の約束がその後の報道内容にも及ぶと判示した。
問題の番組は、NHK教育テレビで01年1月30日に放映された「問われる戦時性暴力」。
判決によると、「法廷」は00年12月8日から5日間、民間人によって開催された。バウネット側はDJの要請に応じて開催前や開催当日に特別な便宜を図った。
ところが、実際に放映された番組では、慰安婦らへの性暴力について、昭和天皇と日本国家に責任があると判断した「法廷」の結論などがすべてカットされていた。
判決は、DJが取材申し入れの際に提示した「番組提案票」などから、番組は「法廷」をつぶさに追うドキュメンタリー番組になると期待してもやむを得ない特段の事情があったと指摘し、DJの過失を認めた。
〈NHK広報局の話〉 判決は、今回の番組が放送事業者に保障された編集の自由の範囲内と認めており、主張が受け入れられたと考える。
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〈期待権〉 将来、一定のできごとが発生すれば、法律上の利益を受けられると期待を持つことができる権利。入院患者が、適切な治療を受けることで救命を期待する「救命期待権」などがあり、侵害されれば不法行為となる。様々なケースがあるが、権利としてどの程度法的保護に値するかはそれぞれ違う。(03/24 12:24)