2004年03月23日(火) 04時04分
<三菱ふそう>99年事故で「要因特定できず」の報告書(毎日新聞)
三菱自動車工業製大型車のハブ破損によるタイヤ脱落事故を巡り、広島県内で99年に起きた中国ジェイアールバス(本社・広島市)の前輪脱落事故の際、三菱自がバス会社側に「要因は特定できなかった」とする報告書を提出していたことが、22日分かった。三菱自側はリコール方針を決めた今月、「設計上の問題の可能性」を認めたが、それまで多発するハブ破損原因を整備不良と主張していた。しかし、この報告書ではそれ以外の原因も否定しておらず、捜査当局は当時既に整備不良以外でハブ破損が起き得ることを認識していた可能性があるとみて、同報告書を入手、関係者から事情を聴いている。
広島の事故は99年6月27日、路線バスが中国自動車道を走行中に右前輪が脱落したもので、けが人はなかった。整備不良が考えにくいバスの事故で、捜査当局はこの際に適切な対応をしていれば、02年1月の横浜市の母子3人死傷事故は防げたとみて、業務上過失致死傷容疑の立件に向け詰めの捜査を急いでいる。
関係者によると、報告書は事故2カ月後の99年9月2日付。「フロントハブ不具合調査報告」と題され、A4判25枚。図や写真付きで原因分析している。
同書は、バスのハブの摩耗について、許容限度(0.5ミリ)を超える1.2ミリだったとしたうえで、ボルトの締め付けの過小・過大やさび防止の塗装の影響など、原因となり得る可能性を列挙。末尾の結論部分では「破損要因としては運転走行状況や強度のばらつき等で破損する恐れのある領域に入ったものと推定する」と幅広く表現し、「その要因については特定できなかった」と破損理由を断定しなかった。
一方、同月中旬、国土交通省(当時運輸省)には「特定はできないが、設計上の問題でなく、整備上の問題と判断する」と報告していた。捜査当局はこの間の三菱自とバス会社側の話し合いや、報告内容が違った経緯などに注目し調べている。
三菱自から03年1月に分社した三菱ふそうトラック・バスの広報担当者は「(バス会社と国交省への)報告の食い違いがあったか把握できていない」としている。【安高晋、広瀬登、武田良敬】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040323-00000147-mai-soci