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2004年03月23日(火) 00時00分

大量出血で女性死亡 軽井沢病院で帝王切開「ミス」信濃毎日新聞

 北佐久郡軽井沢町の町立軽井沢病院で昨年十月、帝王切開で男児を出産した女性が、手術後に意識不明となり、転送先の病院で出血性ショックのため死亡する医療事故があったことが二十二日、分かった。遺族は「死亡したのは出血に気づかず、放置した担当医のミス」と主張。病院側はミスを認め、町は賠償請求に応じる方針だが、遺族は手術後に女性が入っていたICU(集中治療室)に医師が一人もいなかったなど、病院側の対応に問題があったとして、町を相手に近く提訴するほか、業務上過失致死の疑いで医師の告訴も検討している。

 死亡したのは、同町の鈴木良恵さん=当時(32)。遺族や病院によると、良恵さんは出産予定日直前の昨年九月二十四日に入院。十月三日朝になって陣痛が始まったが、一日半以上経過しても自然分べんで生まれなかったため、翌四日午後五時に帝王切開に切り替え、男児を無事出産した。しかし、良恵さんは体力の消耗が激しく、ICUに入った。

 良恵さんは呼吸の状態が安定せず、血圧も低下。脈拍も激しい状態が続き、午後十時二十分すぎに心臓が停止。心臓マッサージを受け、佐久総合病院(南佐久郡臼田町)に転院搬送されたが、同病院到着時に既に自発呼吸はなく、瞳孔散大などの状態で、翌五日午前二時五十分すぎ、死亡が確認された。

 佐久総合病院で病理解剖したところ、良恵さんの死因は、子宮の縫合部からの大量出血に伴う出血性ショックだった。帝王切開の際に約一三〇〇ミリリットル出血していたが、さらに腹腔内に約二〇〇〇ミリリットルの出血がたまっていた。軽井沢病院産婦人科の担当医は子宮縫合部からの出血に気づかず、輸血をしなかった。同病院によると、大人の場合、二〇〇〇ミリリットル以上の出血があると、生命にかかわるという。

 良恵さんの夫の和幸さん(31)ら遺族は、良恵さんの死後、何度も病院に説明を求め、宮尾陽一院長らはミスと認めた。町は遺族側の賠償請求に対して、応じる方針を遺族側に伝え、町議会にも報告した。

 しかし、和幸さんは「担当医は、自分のミスで患者を死亡させたことを認めていないような言動を繰り返しており、誠意を感じない。その医師が今も診療を続けていることも許せない」としており、法廷で真相の究明を求めていく方針だ。

 宮尾院長は「出血に気が付かなかったことはミス。緊急手術(帝王切開)後のバックアップの態勢もできていなかった。取り返しの付かないことをして良恵さんと遺族に申し訳ない」と話している。

http://www.shinmai.co.jp/news/2004/03/23/013.htm