2004年03月23日(火) 00時00分
放射線過剰照射「単純ミス」と謝罪(朝日新聞・)
放射線治療で、過剰照射ミスがあった山形市立病院済生館の峯田武興館長らは22日、記者会見し「医師の思い違いによる単純ミス」と謝罪した。第三者機関「医学放射線物理連絡協議会」に調査を依頼し、来週にも調査が入る予定という。県内で最先端の機器導入後の事故だけに、機器が高度化する一方、単純な操作ミスが大きな事故につながる危険性を浮き彫りにした。
峯田館長らによると、同病院は02年10月に新しい機器を導入。
当時、同病院が作成したパンフレットには「最新の装置がすべてコンピューター制御され人為的なミスが起きないよう工夫されている」などと書かれていたが、昨年2月以降に治療を受けた患者のうち、線量を少なくする装置を取り付けるべき患者に対し、放射線科の医師がその作業をし忘れたため、25人が過剰照射を受けていたという。
峯田館長は「致死量の照射ではない」としながらも、「病巣周辺の正常組織が壊れるか否かのギリギリまで照射した患者もいる」と説明。今後は治療のたびにダミー人体を使って影響量をチェックするなどの対策をとるという。同市の市川昭男市長は「原因究明と事故防止策をきちんとやるよう病院側に指示した。申し訳ありませんでした」とのコメントを出した。
放射線治療のシステムは精密で副作用の少ない治療を目指して高度化しているが、それに比例して技師や医師はより複雑な操作を求められている。過去の主な放射線照射事故でも、線量の計算式の入力や、医師と放射線技師が異なる計算式を使っていたなど、いずれも人為的なミスが原因で、新しい装置の導入に伴うものも目立っている。
同連絡協議会長の早渕尚文・久留米大教授は「機器が複雑化し、ちょっとした使い方や初期設定でミスが起こる。学会でマニュアルを作る必要があるかもしれない」としている。
■過去の主な放射線照射事故例と原因■ 発覚年 病院 患者数 原因
(事故期間)
01年
・虎の門病院
(東京) 23人(約9カ月) 新旧機器間で入力数値混同
02年
・金沢大付属病院
(石川) 12人(約2年) 新機器初期設定入力ミス
03年
・国立弘前病院
(青森) 277人(約11年) 担当技師への指示不十分
04年
・山形大付属病院
(山形) 63人(約2年半) 新機器への数値入力ミス
・山形市立病院済生館
(山形) 25人(約1年) 新機器の操作ミス
(※患者数は過剰(過小)照射を受けた人。患者数、期間、原因はともに病院側発表による)
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http://mytown.asahi.com/yamagata/news02.asp?kiji=4973
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