2004年03月22日(月) 19時11分
ダチョウ肉、にわかに脚光 「赤身はヘルシー」消費拡大目指す /埼玉(毎日新聞)
牛豚鳥に次ぐ「第4の食肉」としてダチョウが注目を集めている。県内では2月、ダチョウ畜産業者8軒が集まり、飼育方法の情報交換などについて初の会合を開いた。牛海綿状脳症(BSE)が“追い風”になる一方、鳥インフルエンザが“向かい風”になっている。呼びかけ人で、ダチョウ牧場「オーストリッチハウス並木屋」(新座市池田3)経営の並木大治さん(33)は「臭みのない赤身の肉は低カロリーでヘルシー。ダチョウブームを巻き起こしたい」と消費拡大を目指している。【松本信太郎】
◇県内8業者集い、低コスト化図る
並木さんの牧場では、成鳥12羽、ひな30羽を飼育している。県内最初のダチョウ牧場だ。雄は約1年で身長2メートル、体重100キロにまで成長し、時速約60キロで走る。並木さんはダチョウの頭をなでながら、「ここまで増やすのは苦労の連続だった」と感慨深げに話す。
東農大農学部を卒業し、実家の農業を手伝っていた並木さんは26歳の時、偶然目にしたニュース番組で「第4の食肉」を知った。牛などに比べ餌代が安く、肉も美味と知り「これならおれにも出来る」と感じた。牧場の整地など準備に約1年をかけ、97年に3羽のダチョウを飼い始めた。獣医がけがをした雄の成鳥を治療した際に押さえつけていて、暴れたダチョウに右足を十数回けられ1カ月の大けがをしたこともある。それでも松葉づえをついて世話をした。
BSE騒動以来、食肉の輸入が激減したため、大手飲食チェーンや飲食店からの問い合わせが相次いでいる。1キロ約4000円と値段はやや高いが、注目は高まるばかりだ。一方、鳥インフルエンザ対策は、牧場に入る際に靴底を消毒する方法でウイルスの媒介を防いでいる。野鳥対策は防鳥ネットを張り巡らし、カラスやハトが近寄るのを防いでいる。しかし、スズメなどの小鳥はネットをくぐって侵入するため、見つけるたびに追い払う。「感染防止のためにいろいろとやっているが、これ以上の対策はない」と話すが、防御策の決め手がないのが実情だ。
今後の課題は、ひなの生存率を上げることと、飼育の低コスト化だ。28日には2回目の会合を開く。「皆で知恵を出し合い、近い将来、食卓にもっとダチョウの肉が載るようになれば」と並木さんの夢は膨らむ。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040322-00000001-mai-l11