2004年03月20日(土) 01時53分
文春の出版禁止は妥当、異議退ける…東京地裁(読売新聞)
元外相・田中真紀子衆院議員の長女の私生活に関する記事を掲載した「週刊文春」の出版禁止を命じた東京地裁の仮処分決定について、同地裁は19日、発行元の文芸春秋が申し立てた異議を退け、出版禁止命令を認可する決定をした。
大橋寛明裁判長は、「政治家の親族であることを前提とした活動をしていない純然たる私人の私的な事柄を、著名な全国誌で暴露すれば重大な精神的衝撃を与える恐れがある」と指摘した。
当初の裁判官とは別の裁判官3人が合議の結果、出版禁止命令を支持したことは、「プライバシー侵害」と「表現の自由」を巡る今後の司法判断に影響を与えそうだ。文春側は東京高裁に抗告する方針。
決定は、被害の程度が報道価値を上回る時だけ、例外的に出版の事前差し止めが認められるとした「北方ジャーナル事件」の最高裁判決(1986年)などに照らし、検討。同事件が名誉棄損問題だったのと異なり、今回はプライバシー侵害が問題となった点について、「プライバシー保護は他の方法で救済できない面があり、名誉の保護より一層、事前差し止めの必要が高い」と指摘した。
また、短期間で販売が終了する週刊誌の特性にも触れ、「事前差し止め以外に救済方法がない」とし、単行本などに比べ、雑誌の場合は事前差し止めの必要性が高いとの判断を示した。
文春側が「長女が将来政治家になる可能性がある」として記事の公共性・公益性を主張した点については「政治家の家系でも、政治と無縁の一生を終える場合も少なくない」と否定し、プライバシー侵害を認定。出版禁止を妥当と結論づけた。
一方、同地裁は、長女側が仮処分決定違反を理由に、文春側に制裁金を支払わせるよう求めた申し立てについて、文春側の決定違反は認めなかったが、文春側が今後、残った3万部を販売した場合には、1日137万円の制裁金を支払わせる、とした。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040319-00000218-yom-soci